前代未聞の美少年アイドル郷ひろみの衝撃と少女マンガ耽溺の少女時代

cinema-chouchou2009-10-21


少女時代は儚き刻とは云えど、ここ数日の私はかなり童女時代まで遡っていて、なかなか戻って来れないまま。調べると詳しく分かるのだろうからまた時間がある折にでもと思うけれど、取り合えず記憶と浮かぶ想い出たちに頼って。私が郷ひろみが大好きだと自覚し、洋楽のレコードを毎月買い始めるまでの期間。その刻は正しく私の少女時代である。そして、ほぼ同じ時期に少女マンガを読み始める。最初はお友達のお姉さんに読ませて頂いていたのだけれど、自分で毎月発売日を楽しみに購読開始したのは『なかよし』。そして『りぼん』。既に『キャンディ・キャンディ』(いがらしゆみこ)の連載は始まっていた。なので表紙はほとんどキャンディだった。『りぼん』の方が全体的には好きになっていたのだけれど、『キャンディ・キャンディ』の最終回までは買い続けていた。小学生の高学年になると『少女コミック』や『フレンド』、『マーガレット』も読み始めていた。私が買うこともあればお友達が買うことも。しょっちゅう交換していたのだ。こういう事を思い出しているうちに、それらの少女マンガの中には当時人気のアイドルたちのお写真やポスターや付録が付くこともあったように思う。また、小学生用の学習雑誌にもアイドルたちは共に居た。母の買っていた映画雑誌などにも深く関係していると思われる。

ひろみが『男の子女の子』でデビューした1972年が私にとって幾つも大切な作品があるというのは、萩尾望都さまの『ポーの一族』の連載が始まった年であること、デヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』の年であることは偶然と云えど運命的な符号。『ポーの一族』も連載の後半から知った。さらに『トーマの心臓』や『11人いる!』、竹宮恵子さまの『ファラオの墓』と後追いながら認知してゆく。まだ幼少の私は連載ものもだけれど、テレビアニメの印象も色濃く焼きついている。『キャンディ・キャンディ』然り、『エースをねらえ!』然り。キャンディのあの愛らしさ、アンソニーの貴公子ぶり、テリーのカッコよさ、岡ひろみの可愛さ、藤堂さんの素敵さ、宗方コーチの翳りの美も好きだったけれど、私には竜崎麗香ことお蝶夫人が大好きだった!学校に行くと大抵の女子は『エースをねらえ!』を観ていて会話の中心でもあった。けれど、「お蝶夫人が美しすぎて大好き!」と云う私は冷ややかに「何故?」という感じであった。彼女たちも好きだと思ってお話したので、その時のガッカリ感は大きかった。お蝶夫人はプライド高く高慢に映ったようだ。私はいつもお友達との少しのズレが常にあったのだ。そして、『ベルサイユのばら』(池田理代子さま)と出会う!勿論、原作マンガは後から読むことになり、私は母に連れられて行ったタカラヅカでの歌劇が最初。お話の内容も知らずに行ったのだけれど、夢のようだった。そして、アニメ、原作という順序。マリー・アントワネットに興味を持つことになったきっかけでもある。主要な登場人物はそれぞれ好きだけれど、やはりオスカルが好きだった。

タカラヅカもそうだけれど、女性が男役を演じる世界を違和感なく「素敵!」と夢みる刻。オスカルが女性であると分かっているし、郷ひろみが男性であることも分かっている。それでもお姿を観ている時にそうした性別はまったくと云って良い程私には関係ないものだった。なので『トーマの心臓』や『風と木の詩』を読んだ時もすんなりその美しく儚い世界に魅入ることができた、何故かは分からないけれど、共通するのは「綺麗」であり「美」なのだろう、私にとっての美しい絵。

私の初めて胸トキメク存在のアイドルは郷ひろみである!これは確信を持って断言できる。けれど、その後はほとんど少女マンガの中の人物たちが続くのだと気付くことができた。デヴィッド・ボウイというこの世の者とは思えない英国のロック・スターの動くお姿を拝見するまでは。そうして、私は一気に洋楽に目覚め、今も音楽や映画に携わるお仕事を続けている。

ようやく、こうしたことを綴れるようになった。児童文学などを読み返す中で、やはり私自身の幼少時の大切なものが甦り、それらはずっと私の心の中に居続けたからであろう。郷ひろみの1972年から1975年辺りまでを少しだけれど綴ってみた。今でもやはりHIROMI GOが好きである私が嬉しいとも想える。次の予定はもう少し先に進んだ時期のことを、やはり記憶を回想しながら記しておこうと思う。忘れていたこと、新たな発見もあり愉しい♪

★「今日の1枚」の画像はオスカルにしよう!また、YouTubeからは『薔薇は美しく散る』を♪

キャンディ・キャンディ (9) 講談社コミックスなかよし (325巻) ベルサイユのばら(5冊セット) ポーの一族 (1) (小学館文庫) 

美少年の原点に郷ひろみ(HIROMI GO)あり♪

cinema-chouchou2009-10-18

今日10月18日は郷ひろみの54歳のお誕生日。あまり、これまで郷ひろみについて綴っていない(「ボウイ館」で好きであることは記しているけれど)。1971年(15歳)から1975年までジャニーズに所属。その後、まだ大きなプロダクションではなかった現在のバーニングにも大きな功績を残したお一人だと想う。確か移籍当時のバーニングは所属スターも少なかった。ジャニー喜多川氏のショックは大きなものだったという。そうであろう!そして当の郷ひろみは母親と自殺まで考えたと云われる程の有る事無い事を書き立てるマスコミに傷ついた大きな年(時期)であったようだ。フォーリーブスの弟的な存在としてデビューし、一躍アイドルとなる。スカウトしたのはジャニー氏であるので流石の審美眼である。後に、元フォーリーブス江木俊夫が近年、「今でもジャニーさんの理想とするアイドル像は郷ひろみであろう」と語っている。

いつまでも現役でスターとして生き続ける郷ひろみはストイックである。完璧主義者と云われるお方で潔癖症でもある。天性の素養に努力が積み重なり今日のHIROMI GOがある!時に自己をパロディ化するような時もあるけれど、高慢ちきでは決して無い。デビューはNHK大河ドラマ『新・平家物語』の平経盛役(1972年)。同年の8月にシングル『男の子女の子』で音楽デビュー。その年の日本レコード大賞の新人賞に輝いている。1972年!私にとってこの年は何か運命的なものが幾つも重なっている。デヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』の年でもある。当然、まだ幼少の私はボウイのお名前すら知らない頃。郷ひろみもその新人賞を受賞した年や紅白初出場の1973年は記憶があまりない。小学生になり少女マンガを読み始めるのだけれど、ほぼ同時期に「郷ひろみが好き!」と意識していたようだ。次第にアイドル雑誌も少女マンガと一緒に買うようになった。けれど、お友だちのお姉さんに見せて頂いたりそんな具合だった。

雑誌の人気投票では確か何年もの間1位だった郷ひろみなのに、私の周りはあまりファンがいなかった。きっともう少しお姉さん達に多かったようだ。私はどうしてか、私よりもずっとお兄さんのような郷ひろみが好きだった。初めて、絵の中の人物ではない「可愛い!」と心がトキメク「男の子」は郷ひろみであった。また、クラスの女子や男子から「女みたい」とか「おかまみたい」とからかわれた。けれど、人気投票では1位であることが私の誇りでもあった。ボウイのこともずっと後に「気持ち悪い」とか「おかまロック」とか云われた。私の少女時代はとにかく批判されからかわれることが日常茶飯事であった。母は似ているので、「ひろみは可愛い」と一緒にテレビを観ることができた。父ですら、番組欄を見ては「今夜ひろみが出るぞ」と教えてくれていた程。弟は、今でもひろみが好きで私より最近の曲に詳しい。オールナイト・ニッポンというラジオ番組の第二部は私の地域では電波が悪くラジカセのアンテナをぐるぐる回しながら聞いていた。何曜日だったかな...近田春夫さんの担当日があり、近田さんはひろみのファンなので、ニュー・シングルが発売になる前に逸早く曲を聴かせてくださるのだった。その電波の悪い音源を必死で聴き入っていた私。深夜起きているといけない子供なのに、私は小学生の頃から夜遅くまで起きていた。部屋の電気がついているので、ご近所の方々は私が遅くまで勉強をしているお利口さんだと想っていたようだ。両親も早く寝るので私が遅くまで起きていることなど知らずにいた。

日本で初めて「可愛い!女の子みたいな男の子」としてのアイドルで、かつヒット曲も継続されたのは郷ひろみだろう。今も54歳になられてもカッコイイと想う。ジャニーズは可愛い男の子たちが続々登場するけれど、郷ひろみが移籍してからは冬の時代が暫く続いたのである。私はたのきんやシブガキ隊、少年隊の世代であるのだけれど、その頃は既に洋楽を主に聴いていた。けれど、ひろみと東山紀之(ヒガシ)は好きで今もやはり好きである。嵐だって好き。J-ポップと呼ばれるようになり、日本のロックな音楽が認知されるようになり、すっかり歌謡曲、歌謡番組はなくなってしまった。それでも、郷ひろみは今もその「歌謡界」でスターであり続けていることは凄いと想うのだ。長年ひろみ・ファンであり続けておられる多くの方と私はちょっと違う。けれど、あんなに新曲の発売にワクワクし、テレビに魅入っていた刻。YouTubeで私の記憶に無かった映像があったもので、歓喜していた!その映像を観てやはり「可愛い!」って胸躍る存在であるのだと再認識できた。郷ひろみは俳優としても多くの映画やドラマ、舞台作品がある。映画もほとんど観ているので俳優としても好きなお方。

青年期以降はバラード曲の方が好きな曲が多いかもしれないけれど、今も街中でひろみの声の曲が流れると嬉しくなる。訃報が飛び込んできた!加藤和彦さんの悲しい死の知らせ。嘗ての奥様であり数々の昭和の名曲の作詞をされたお方でもある故・安井かずみさんも好きだった。とても素敵なお方。郷ひろみの初期の名曲の一つに『よろしく哀愁』がある。その作詞をされていたのは安井かずみさん。

まだまだ取り留めの無いことを綴り続けそうなので、また時々記してゆこうと想う。私にとって、間違いなく「アイドル」という存在であったお方、また、今でもやはり好きであるので。「スターがスターであった時代」、「歌謡曲が歌謡曲であった時代」というような時代が好き。スターは彼方に居られるのが美しい☆

★この映像は1972年のデビュー曲『男の子女の子』だけど、1973年の紅白初出場の折の映像。ひろみを肩車している方々の中に、フォーリーブスのメンバーと野口五郎の姿も見れる。西城秀樹はこの年紅白は落ちてしまい翌年から「新御三家」と呼ばれていた三人が揃って出場することになる♪

NHK大河ドラマ総集編DVDシリーズ 新・平家物語

NHK大河ドラマ総集編DVDシリーズ 新・平家物語

『長くつ下のピッピ』 オル・ヘルボム監督 (1970年) 原作:アストリッド・リンドグレーン

cinema-chouchou2009-10-16


長くつ下のピッピ/PA RYHMEN MED PIPPI LANGSTRUMP
  1969年・スウェーデン/西ドイツ合作映画
監督:オル・ヘルボム 原作:アストリッド・リンドグレーン 脚本:イドレント・イドーム 撮影:カール・バーグヘルム 音楽:ゲオルグ・ピーデル
出演:インゲル・ニルセン、パー・サンドバーグ、マリア・パッセン

【あらすじ】
トミーとアニカの隣家ごたごた荘に、赤いおさげ髪とソバカスだらけの顔がチャームポイントの少女ピッピがやってきた。南の島の王様であり、船長でもある父親は世界を航海中で、ピッピはごたごた荘で一人暮らしを開始する。やがて世界一の力持ちでもあるピッピと話をするようになったトミーとアニカは、すぐにピッピと仲良くなり、気球に乗ったりイカダで遊んだりと、毎日ステキな大冒険を繰り広げる。そんなある日、2人の泥棒がピッピの金貨を盗みにやってきて…。

『ロッタちゃん』で知られるスウェーデン童話作家アストリッド・リンドグレーンによる人気童話をもとに、長い靴下をはくと不思議なパワーを発揮できる元気少女ピッピの冒険を描いた、楽しく愉快なファンタジー作品。おてんばながらも優しい心を持つ少女ピッピが、相棒の猿や馬、隣家の子供たちと共に、大活躍を繰り広げる。ピッピの声は、「ムーミン」の声も担当した岸田今日子と、名子役からバラエティまで一世を風靡したキャロライン洋子が担当。元気いっぱいの少女ピッピを、みごとに演じている。(メーカー解説より)

★『長くつ下のピッピ 世界一のおてんばBOX』のDVDは購入出来ずに完売となっていた...残念。BOXものはお得だけれど...とついつい見送ることが多い。あまり、このBOX内容をチェックしていなかったのだけれど、『長くつ下のピッピ』『続 長くつ下のピッピ』『ピッピの宝島』『ピッピ船にのる』4作品ということで、『ピッピの新しい冒険』は入っていないみたい。古いビデオを引っ張り出して観直さないとお話が原作と映画も相まってごちゃまぜ状態。この70年代前後の色彩は好きだし。ピッピ役のインゲル・ニルセンはもうピッピのキャラクターとして記憶されてしまっているようで、私の中ではあの元気な少女のままでいる。また、アニカ役のマリア・パッセンが可愛くて好きだった。彼女もピッピ・シリーズの中で時間が止まっている。インゲル・ニルセンは女優業を続けておられるようだけれど、多分他の作品は観ていないと想う。

作家のアストリッド・リンドグレーンは好き!翻訳されている方々のあの言葉遊びもワクワクしてしまう♪スウェーデンというお国は面白い。このような子どもたちを描いた映画も特色ながら、この時期はかなりポルノ映画も人気だったようだし。この時代の映画雑誌が家にあったもので、今も持っている。時折眺めると、それらの作品の当時の人気も窺える。そこまでチェック出来ずにいるのだけれど、気になる主演の女優さまは居る。けれど、観れる範囲に限りがあるので優先順位に従うと、ずっと後回しになってしまい未見のままで終りそうな気もする。

オル・ヘルボム監督はアストリッド・リンドグレーン作品の映画化が他にも多数あるけれど(『ラスムスくんの幸せをさがして』『おもしろ荘の子どもたち』『川のほとりのおもしろ荘』他)、ラッセ・ハルストレム監督の『やかまし村の子どもたち』や『やかまし村の春夏秋冬』もとても好き。こちらは80年代になってからの作品で想い出深いもの。『長くつ下のピッピ』は1969年から1970年製作映画だけれど、日本での劇場公開は1973年から1977年頃のよう。さらに、テレビ放送もされていたので、なんだか年代もよく分からないけれど、あのカラーの鮮やかさは印象強く残っている。キャロライン洋子さんというのも懐かしいけれど、うる覚え。カラーの色合いも年代によって特色があるので愉しい。もっと古い時代のテクニカラーも綺麗。専門的なことは分からないけれど、やはり「映画」は大好き!

関連:『長くつ下のピッピ』 おてんばキュートな赤毛の女の子★インゲル・ニルセン(INGER NILSSON)♪ : クララの森・少女愛惜

長くつ下のピッピ [DVD] 続 長くつ下のピッピ [DVD] ピッピの宝島 [DVD] ピッピ船にのる [DVD]
写真絵本 「長くつ下のピッピ」 長くつ下のピッピ (岩波少年文庫 (014)) リンドグレーン作品集 長くつ下のピッピ 3冊セット 

『ピーター・パン』 P・J・ホーガン監督 (2003年) 原作:ジェイムズ・バリー

cinema-chouchou2009-10-12

ピーター・パン/PETER PAN
 2003年・アメリカ映画
監督・脚本:P・J・ホーガン 原作:ジェイムズ・バリ 撮影:ドナルド・マカルパイン 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード 

出演:ジェレミー・サンプター(ピーター・パン)
レイチェル・ハード=ウッド(ウェンディー・ダーリング)
ジェイソン・アイザックス(フック船長/ダーリング氏)
リュディヴィーヌ・サニエ(ティンカー・ベル)
オリヴィア・ウィリアムズ(ダーリング夫人)
リチャード・ブライアーズ(スミー)
リン・レッドグレーヴ(ミリセント伯母さん)
カースン・グレイ(タイガー・リリー)
ジェフリー・パーマー(エドワード・Q・クーチ卿)
ハリー・ニューウェル(ジョン・ダーリング)

【あらすじ】
もうすぐ13歳になるウェンディー・ダーリングの楽しみは、弟達とのちゃんばらごっこ。でも、ミリセント伯母さんは、ウェンディーの口元に《秘密のキス》を発見し、大人になる準備をしなさいと言う。ある夜、目を覚ましたウェンディーの枕元に現れたのは、いつも夢に出てくる男の子、ピーター・パンだった。ピーターは逃げ出した影をくっつけようと格闘中。見かねたウェンディーが針と糸で足に縫いつけてあげると、ピーターはウェンディーをネバーランドへ誘う。そして、ウェンディーは「子どもたちの国」へと旅立つのでした...!

ティンカー・ベル、フック船長、タイガー・リリー、時計ワニ、迷子たち(ロスト・ボーイズ)と繰り広げる心躍る冒険、そしてロマンス。永遠に少年のままのピーター・パンと、大人になりかけた小説家を夢見る少女ウェンディーの物語。

原作はジェイムズ・バリ(ジェイムズ・バリー)。この戯曲の初演は1903年ということで、初演から100年を祝して製作された映画がこのP・J・ホーガン監督による2003年の『ピータ・パン』。ピーター・パン役の少年はジェレミー・サンプターで、彼は史上初めてピーター・パンを演じた男性(男の子)と宣伝されてもいた(実際には舞台で2度、過去にも男性による上演があったそうです)。私は少年の好きなタイプは少女に比べると結構ガッチリとイメージ化された脳髄の「美少年像」があるようで、かなりの確率でヨーロッパの少年子役好きらしい(それも、英国は宝庫であるのは今も変わらない)。なので、整ったお顔をされたお方ながらピーター・パンのイメージとも私はちょっと違っていたという個人的な勝手な感想を抱く。このようなジェレミー・サンプターが主役の映画なので、「少年ファン」の皆様なら、もっと彼の魅力を色々と語ることができるのだと想う。けれど、私はウェンディーばかり、そして、ティンカー・ベルの印象なら強く残っていて「可愛い〜!」とウットリ妖精世界に夢を馳せるばかり。眠っている子供たちの中にレイチェル・ハード=ウッドの実の弟であるパトリック・ハード=ウッドも出演されているそうだ(再確認できるだろうか)。SFXの多用は仕方ないのだろう。英国産のお話とあってか、俳優方は英国陣が脇を固めておられる。フランスからはリュディヴィーヌ・サニエがティンカー・ベル役で出演されていて、とても嬉しいものだった。リュディヴィーヌ・サニエも映画デビューは子役から。レイチェル・ハード=ウッドのウェンディー役は兎に角可愛い!その後も、順調に良い作品に恵まれているように感じているので、これからも素敵な女優さまへの道を追ってゆこうと想う。

関連:レイチェル・ハード=ウッド(RACHEL HURD-WOOD)★少女ウェンディーでデビューした美少女♪ : クララの森・少女愛惜

ピーター・パン [DVD] ピーター・パンとウェンディ (福音館文庫 古典童話) ピーター・パン (新潮文庫)

『にんじん』 ジュリアン・デュヴィヴィエ監督 (1932年) 原作:ジュール・ルナール

cinema-chouchou2009-10-11


にんじん/POIL DE CAROTTE
 1932年・フランス映画
監督・脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ 原作:ジュール・ルナール 撮影:アルマン・ティラール、ティラール・モンニオ 音楽:アレクサンドル・タシスマン
出演:ロベール・リナン、アリ・ボール、カトリーヌ・フォントネイ、ルイ・ゴーチェ、クリスチアーヌ・ドール、コレットセガル、マキシム・フロミオ、シモーヌ・オーブリ

ジュール・ルナール(Jules Renard:1864-1910)はジュウル・ルナアルとされているものもある。外国語の日本語表記は難しい。この自然主義文学とも作風は異なり、なんとも異色の作家と思えるジュール・ルナールの『にんじん』は私が生まれる以前から家の本棚に並んでいた。『少年少女世界文学全集』の「フランス編」の中に。私はというと、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の映画『にんじん』を観たことで、この作家の原作とようやく一致した。ジュール・ルナールの『にんじん』が刊行されたのは1894年。児童文学の中にも入るけれど、年少の子供たちがそのまま読むとかなり怖い場面も多い。暗鬱であり残酷なのは執拗に折檻する母親の姿や無味乾燥な家族の情景だけではなく、にんじんことフランソワ少年の姿にも。作者であるジュール・ルナールの半自伝的な作品ということながら、ルナールは自らの少年時を美化するでもなく描いている。でも、それらの子供たちの姿は普通なのだとも思う。子供は純粋ゆえに残酷なことをしたり云ったりする。

1887年から1910年頃に執筆されたという膨大な『日記』がルナールの死後発表された。これはフランス文学史を少しばかり受講していた折に知ったこと。その日記の全貌は知らないけれど、ルナールの実の父親が病を苦に自殺されたこと、母親もその後井戸に落ちて亡くなっている(事故か自殺とも定かではないようだ)。こうした「事実は小説より奇なり」なことに時々遭遇してはゾクっとする。ルナールの描き方は淡々としていて簡潔。けれど鋭敏な洞察眼が魅力。その視線を見事に、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督は脚色し映像化されたと思う。

にんじんを演じるロベール・リナンも素晴らしい!レジスタンスという時代にリナン自身は身を投じ22歳の若さで死に至る。それまでに、『にんじん』以外でもジュリアン・デュヴィヴィエ監督作品の『我等の仲間』(1936年)、『シュヴァリエの放浪児』(1936年)、『舞踏会の手帖』(1937年)、またマルク・アレグレ監督の『家なき児』(1935年)にも出演されていた。『シュヴァリエの放浪児』と『家なき児』は未見なので観てみたいと思っているけれど...。

私は今のところ、やはりフランス文学とフランス映画を多く読んだり観たりしてきたよう。”フランス”だからと目くじらを立て読むのでもなく観るのでもない。そう云えば音楽もやはりフランスの音楽は好きである。意識しなくても気になるから興味があるから心が向かうのだろう。長い歴史のフランスという国の残した文化遺産のようなものたちに。その中に、私の好きな「美」が山のようにあるのだから。知らないことだらけなので、まだまだ興味は尽きないだろう。

そんなことで、このルナールの同時代に同じジュールという名の作家がお二人浮かぶ。ジュール・ヴァレス(Jules Valles:1832-1885)とジュール・ヴェルヌ(Jules Verne:1828-1905)である。それぞれ勿論趣は異なるけれど、ヴァレスは自伝小説を書いている。小説家でありパリ・コミューンの闘士でもあったというお方。また、ヴェルヌは最も有名かも知れない。『海底二万海里』(1870年)や『80日間世界一周』(1873年)など、並外れた科学知識と空想力、ドラマティックなお話は人間ドラマであり文明批判をも含むもの。ルナールにしてもヴェルヌにしても、児童文学作家でもあるけれど、其処に留まるものではない。世界中の多くの優れた児童文学及び作家がそうであるように。

関連:『にんじん』 フランソワ少年と少女マチルド 監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ 原作:ジュール・ルナール : クララの森・少女愛惜


にんじん (角川文庫クラシックス) ジュール・ルナール全集 (12) 日記 (2) ルナアル詞華集

『若草物語』 マーヴィン・ルロイ監督(1949年版)とジリアン・アームストロング監督(1994年版) 原作:ルイザ・メイ・オルコット

cinema-chouchou2009-10-08


《「若草物語」のこれまでの纏め》
★ジョーがある雑誌に投書した詩であり、ベーア先生との絆を深めることになる詩。ジョーはまずい詩だと想っていたけれど、ベーア先生の心にはしっかり届いたのだ。この詩は、屋根裏部屋の四人の姉妹の名を記した引き出しを見ながら書いたもの。ベスの死は姉妹の中でもジョーには特別な哀しみだったのだと想う。泣いてばかり過ごしていた勝気なジョー。素敵なジョーはオルコットの分身のよう。『愛の四少女』(この邦題が今も大好き!)と題された古いご本は私が小学生になった頃のもの。今では『続若草物語』として手にすることができる。四人の若草姉妹たちに愛が訪れるまでのお話。ベスがいないと想うとやはり悲しいけれど。

『屋根裏部屋にて』の「ジョー」の詩

首のぬけた人形 すりきれたノート 鳥もけものも、 いまは何もいわない 幼い日 フェアリーの国からもって帰った かずかずのえもののなつかしさよ とおい日の思い出の甘さよ 書きちらした詩 まずい物語 あたたかかったりつめたかったりの 気まぐれなたくさんの手紙 りこうぶった少女の日記は まだ若いのに老けこんでしまった女の名残りだろうか ただひとり、さびしく家をまもっている女 「愛にあたいする者になれ、そしたら愛は来るであろう」  だれかがくりかえす。 真夏のにわか雨に似た、かなしい言葉をくりかえす 女はしずかに耳をかたむけている

関連:『屋根裏部屋にて』の「ジョー」の詩★『愛の四少女(続若草物語)』より 作:ルイザ・メイ・オルコット : クララの森・少女愛惜

2009.10.8.

若草物語/LITTLE WOMEN
1949年・アメリカ映画
監督:マーヴィン・ルロイ 原作:ルイザ・メイ・オルコット 撮影:ロバート・プランク、チャールズ・ショーンボーム 音楽:アドルフ・ドイッチ 出演:ジューン・アリソン、マーガレット・オブライエン、エリザベス・テイラージャネット・リー、ピーター・ローフォード、 メアリー・アスター、C・オーブリー・スミス、ロッサノ・ブラッツィ

ルイザ・メイ・オルコットの自伝的な内容も含まれている不朽の少女小説であり児童文学でもある『若草物語』はいったい幾度映画化されているのだろう。このマーヴィン・ルロイ監督の1949年作品は既に4度目の映画化だそうだ。アニメや日本映画も含めると6作品の『若草物語』を観ているのだけれど、今のところ、その中で一等好きなものはこの1949年のもの。この頃ならではのテクニカラーが好きだし、お衣装や小物、舞台セットなどが実に美しい!また、それぞれ性格の異なる四姉妹たちも。

原作や他の映画と異なるのは、三女のベスと四女のエイミー(エミー)を変更している点。それは、当時、名子役として人気を博していたマーガレット・オブライエンがエリザベス・テイラーよりも年少であり、幼くして病に死す内気な少女ベスを演じることで。名演技に涙したお方も多いのだろう。原作では姉妹たちは皆まだ10代。次女のジョーを演じるジューン・アリソンは当時32歳だったというけれど、ハツラツとした快活なジョーを演じている。長女のメグ役のジャネット・リーは原作のイメージと私は少し違うのだけれど、美しいし好き。リズは撮影当時16.17歳で既に完璧な美を誇っている。エイミー役にお似合い。初めて観た時に少し違和感があったのは、多分リズなのにブロンドの髪の少女だったからだと思う。こんなにブロンドのリズは他の作品では拝見出来ないのではないだろうか。縦ロールの髪も素敵だけれど、終盤のローリーと結婚する場面(ヨーロッパから帰国後)の後ろで纏めた美しいヘアスタイルの方がお美しいお顔立ちが際立つように思う。

舞台は19世紀半ば。姉妹の中でも中心はジョー。裕福ではないが姉妹はお互いを思いやり、両親を尊敬し愛している。また、隣人やご近所の人々への慈愛も深く、その中でのそれぞれの乙女心。時代は随分違えども、ある時期の少女たちには共通するものがいつもある。なので、100年以上前の小説がいつまでも愛され続けるのだろう。ジョーは個人的にはジリアン・アームストロング監督作品(1994年)でウィノナ・ライダーが演じたものがお気に入りなのは今も変わらないけれど、どれを観ても最後は感動で泣いてしまう。

2009.8.10.

若草物語:LITTLE WOMEN
1994年 アメリカ映画 

監督:ジリアン・アームストロング 出演:スーザン・サランドンウィノナ・ライダークレア・デインズ、トリニ・アルバラード、キルステン・ダンスト、サマンサ・マシス、ガブリエル・バーンクリスチャン・ベイル、エリック・ストルツ

ルイザ・オルコットによる原作は有名。そして、映画化も今作で4度目となるもの。何度観ても泣いてしまう。主人公の次女ジョー役のウィノナ・ライダーが生き生きとあまりにも素晴らしい!母親役がスーザン・サランドンである事も嬉しいキャスティングなのだけれど、何度も観ているとみんなそれぞれ素敵で仕方がない。そんな映画。原作に忠実なストーリー展開なので19世紀半ばのお衣装や家具などを見ているだけでも美しい。

キルステン・ダンストがエミーの幼女時代役で出演しているのも見所かもしれないけれど、私は実は三女の死んでしまうベスを演じるクレア・デインズがとても好きだったりする。ジョーとは対称的な女性(少女)を演じている。

ウィノナを中心に他の出演者皆が存在感があって鮮やかな傑作に思う。特にガブリエル・バーンの演じる貧乏な哲学者フレデリックには驚いたものだ。だいたい、彼の印象は強烈でどこか悪魔的というか凄味を感じさせるイメージが強かった。それは、あまりにもかの「ゴシック」(ケン・ラッセル)でのバイロン卿の印象が色濃く焼き付いているからだと想像出来る。まだ未見ながら「仮面の男」にもジェレミー・アイアンズと共に出演している様なので早く観てみたいと思っているところ。ここでのフレデリックの様な人間(性別を問わず)がとても好きだ。なので、最後にジョーと結婚して学校を開校するという終わりは実に美しく胸に響く。

2005.2.13.

若草物語 [DVD] FRT-062 若草物語 コレクターズ・エディション [DVD] 若草物語 [DVD]
若草物語 (福音館文庫 古典童話) 若草物語 (新潮文庫) 若草物語 (子どものための世界文学の森 1)

『マリアンヌの夢』 キャサリン・ストー

cinema-chouchou2009-10-07


★イギリス・ロンドン出身(1913年生まれ)の作家であり精神科医でもあるキャサリン・ストー(CATHERINE STORR)は児童文学を数多く書かれている。その中で私にまったく異なる作風として印象深く残っている、好きな作品である『マリアンヌの夢』(1958年)と『かしこいポリーとまぬけなおおかみ(ポリーとはらぺこおおかみ)』(1955年)のご本のこと。独特の「心理ファンタジー」と称される代表作が『マリアンヌの夢』だと想う。他にも『ルーファス』(1969年)も面白い。

関連:『マリアンヌの夢』と『かしこいポリーとまぬけなおおかみ』 作:キャサリン・ストー(CATHERINE STORR) : クララの森・少女愛惜

マリアンヌの夢 (岩波少年文庫)
かしこいポリーとまぬけなおおかみ (世界こどもの文学)
少年と白鳥

※私はやはり、どうしてか、どうしても、「少年少女たち」が大好きで仕方がありません。映画に留まらず原作も可能な限り読みたいと想っていますが、なかなか追いつかない日々。子供の頃に『少年少女世界文学全集』という全集が家にありました。今も持っていますが私の生まれる前に発行されているものです。私には本当は姉が二人居たのです。戸籍に掲載されている長女は僅か一週間の命で死に至ったようです。また、もうお一人の姉が居たのです(名前も付いています)が体の弱い母も結構衰弱しながらの状態でこの世に生きて生まれることの出来なかった方。両親はとても子供好きなので、我が子が欲しくてしかたがなかったのでしょう!そのお二人の姉の名には父の名の一文字がどちらにも付いています。父の事が大好きで、この世で最も尊敬してきたお方。その父の生まれてくる我が子への想い...。両親は生涯、そのお二人の命日を忘れることはなかった姿が今も浮かびます。私も生まれた時は未熟児で元気な状態ではなかったらしく、その後もたいそう大事にされて育ったと感謝しています。母から映画や名作文学を多く教えて頂きました。難しい読めない漢字を母に訊くと直ぐに教えてくれました。薦められたご本を全て読んでいないのです。でも、とっても大好きな作品や主人公たちは忘れることはありません。その頃から、女の子が主役の作品が好きでした。今の私と子供の頃の私を切り離すことなどできず、両親との家は死ぬまで心の故郷であるのだと想います。

『クララの森・少女愛惜』と提携しながら、こちらでは『私の好きな少年少女文学』をゆっくりとですが、纏めてゆく作業もしてゆこうと想います。稀少本とされるものは絶版で現在入手困難ですが、意外と図書館にはひっそり居ます。また、私のモットーのようなもので、それは音楽でも映画でも同じ。有名な名作たちを「知ったかぶり」されたり、「知ったか嫌い」されることを好みません。長年愛され続ける世界には大切ななにかがあるのです。受け取り方は其々ながら、それらをパスして人の知らない作品ばかりを追う人々も多い。それもお人の勝手ですが。また、今はネット時代で調べると様々な情報が溢れている。「聴いた気になる」し「読んだ気になる」ことも安易かもしれない。しかし、「知らないことは知らない」と云う姿は恥ずかしいことではなく、教えて頂く事は人生の学び。私の読書はめちゃくちゃの濫読癖で、その都度、感動と混乱が生じていますので、そろそろ整理をしないと時間がないようにも感じています。