『リトル・ミス・サンシャイン』 ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督 (2006年)

cinema-chouchou2010-01-13

リトル・ミス・サンシャイン/LITTLE MISS SUNSHINE
2006年・アメリカ映画

監督:ジョナサン・デイトンヴァレリー・ファリス 脚本:マイケル・アーント 撮影:ティム・サーステッド 衣装デザイン:ナンシー・スタイナー 音楽:マイケル・ダナ

出演:グレッグ・キニアトニ・コレットスティーヴ・カレルアラン・アーキンポール・ダノアビゲイル・ブレスリンブライアン・クランストン、マーク・タートルトーブ

【あらすじ】
アリゾナ州に住むフーヴァー一家は、家族それぞれに問題を抱え崩壊寸前。パパのリチャードは独自の成功論を振りかざして“負け組”を否定し、長男ドウェーンはそんなパパに反抗して沈黙を続ける。9歳の妹オリーヴはとうてい無謀なミスコン優勝を夢見て、ヘロイン常習のグランパは勝手言いたい放題。さらにはそこへゲイで自殺未遂の伯父フランクまで加わる始末。ママ、シェリルの孤軍奮闘も虚しく家族はバラバラ。そんな時、オリーヴに念願の美少女コンテスト出場のチャンスが訪れる。そこで一家は旅費節約のため、オンボロのミニバスに家族全員で乗り込み、はるばる開催地のカリフォルニア目指して出発するのだった。だがその道中、彼らは各々の問題と直面してその現実と向き合う羽目になるなど、散々なドライブに。そして、一家に衝撃的な出来事が起きてしまう…。(ALLCINEMAデータより)

★感想をメモしておこうと想いながら更新が出来ずにいる映画がいっぱいなのだけれど、この『リトル・ミス・サンシャイン』もそのひとつ。インディペンデント映画ながらアメリカでも大ヒット。往年の名優アラン・アーキンアカデミー賞助演男優賞を受賞された作品なので楽しみにしていた。残念ながら劇場での鑑賞ではなくレンタルにて。

ママ役のトニ・コレットも好きな女優さまで、演技派&個性派女優だと想う。この映画の中で父親は「勝ち組」と「負け組」を論じる。家族だからと云っても性格も考え方も様々なのだ。このフーヴァー一家の人々は可笑しいくらいに個性的でバラバラ。それぞれに問題を抱えているのだけれど家族としての纏りはない。そんな崩壊寸前の一家が、9歳の娘オリーヴの「ミス・コンテスト」出場となりカリフォルニアへ向かうという愉快なロードムーヴィー。車が途中で故障したり、長男のドウェーンが喋ったり、おじいちゃんが急死したり...色々なことがありながら。アラン・アーキン演じるおじいちゃんが急に亡くなってしまう場面はビックリ!私はアラン・アーキンを第一目的で観たのでちょっと終盤の登場がなくて残念だった。でも、この家族の中にあって希望の光のような少女オリーヴを演じるアビゲイル・ブレスリン、ドウェーンを演じるポール・ダノの兄妹の存在が印象深く残っている。ドウェーンのあの”一切喋らない”姿勢は一見脱力感に溢れたものだけれど、凄い存在感だった。伯父さんのフランクが家にやって来て結構気が合うのだった。この伯父フランクはプルーストの研究学者でインテリながら、心の問題は教え子の男性を他の男性に取られてしまい落ち込んでいるゲイのお方。私としては随所に興味のある映画だった。

そして想う。人生に於いて「勝ち組」とはなんだろう...と。そういう私はこのパパの考え方からすると明らかに「負け組」の人間だろうと。でも、私ながらの人生を歩んでいるのだし悲しくても辛くても人生謳歌しているつもり。そもそも、人の人生に勝ち負けを誰が決めることができるだろう。お金持ちで社会的に成功する人々がみんな勝ち組とも限らない。その成功ゆえに不幸な人生を送る場合も多々ある。もっとも、そのような思想にはまったく興味のない私なのだけれど、この映画を観てやはり”関係ない”って想えた。帰りの一家はおじいちゃんが居なくなったけれど、行きよりも会話が増え、それぞれの表情に笑みが戻ったようだった。また、人間の魅力というのは色々あるけれど、私はやはり「個性」というものが好き。そんな人たちが社会から少しズレていたりしてもそれもとっても興味深い人生に映ることが多い♪

リトル・ミス・サンシャイン [DVD] Little Miss Sunshine