『フリック・ストーリー』 ジャック・ドレー監督 (1975年)

フリック・ストーリー デジタル・リマスター版フリック・ストーリー:FLIC STORY
1975年 フランス/イタリア合作映画 
監督:ジャック・ドレー 出演:アラン・ドロン、ジャン=ルイ・トランティニャン、クロディーヌ・オージェ、レナート・サルヴァトーリ、ポール・クローシェ 音楽:クロード・ボラン
アラン・ドロンフィルモグラフィーを調べてみた。まだ20程未見のものがあるけれど、50以上は観ていると知る。日記を綴れない日でも映画はほぼ毎日観ているので、実は先月は「レッド・サン」(これは三船敏郎氏が格好良かったなぁ〜!)を観ていたりとアラン・ドロン作品はとても頻繁に馴染み深いもの。何を観ようかなぁ〜って選ぶのが楽しい程に好きな映画がいっぱい。

この「フリック・ストーリー」は刑事物語。実話を基に製作されたもので、監督はジャック・ドレー。アラン・ドロンは製作と主演。ドレー作品には数多く出演していてどれも好き。でも、「フリック・ストーリー」ではジャン=ルイ・トランティニャンとの共演が実現したものでどちらのファンでもある私には、とても豪華なのだ。刑事ロジェ・ボルニシュ(実在の人物)役のアラン・ドロンの恋人カトリーヌ役はクロディーヌ・オージェだし、凶悪犯エミール・ビソン(トランティニャン)の仲間の中にはレナート・サルヴァトーリやポール・クローシェも居る。他の作品でも共演している人達でこの脇役の顔ぶれも嬉しい。

それにしても、カッコイイ!!アラン・ドロン。煙草をくわえながら電話でお話するシーンや、整えた髪の前髪が少し崩れる時、トレンチコートの襟を立てて歩くシーン、バゲットを囓りながら見張りをしたり...この時40歳なのであの美しいお顔に渋みが出て来て、この様な刑事役や殺し屋などの犯罪劇に円熟味が増すというだろうか...この刑事役のアラン・ドロンと、極悪非道な脱獄犯役のトランティニャン。このお二人が主演とも言える。終わり間近でやっと、お二人が並んで車に乗ったり、会話がなされるのだけれど、そんなシーンが映像に残っていて嬉しくて仕方がない。どちらもフランスを代表する素晴らしい俳優さまである事は好き嫌いはあるだろうが誰も否定出来ないだろう!!

ジャン=ルイ・トランティニャンは寡黙でニヒルな役もよくお似合い。アラン・ドロンの翳りとはまた違ったひんやりとした佇まいがある。お二人が一緒の車中で一瞬見せるトランティニャンの微笑みがとても素敵だった!取り調べをしている内に、何かロジェはエミールにある共感を感じていると語る。ただ善良な刑事なんて似合わないアラン・ドロンなので、この言葉とこの歴史的共演が全てだと思えてならない名作。

アラン・ドロンよりも少し年上のトランティニャンがまだ現役なのは嬉しい。娘さんのマリー・トランティニャンは2003年にお亡くなりになった(このお方も素敵だったのに!)のは信じたくない悲劇だ...。そんな事も考えたりしてしまう。