『キス』著:キャスリン・ハリソン★作家キャスリン・ハリソンの少女時代

cinema-chouchou2011-02-21


★表紙の女性から何かを感じ、安価であったこともあり即購入。未読本が多いので暫くそのままにしていたのだけれど、読んでみようと思い一気に読み終えた。

けれど、途中幾度か不快な思いが襲うので読むのをやめようかとも思いながら、後半頃にはすっかり読み耽っていた。読後の重い余韻が私の心を締め付けるようでもあった。納得出来ない苛立ちのようなものと、主人公の少女の心を思うと、涙が止まらなくなっていた。

このお話は実話であるということ、実の娘と父親との近親相姦。そして娘と母親...私の人生に於いて父親という存在は途轍もなく大きい。故人である今現在も。尊敬と威厳、父の姿から誇りや高貴、あるいは孤独や拘りを学んできた。

この本の中の父親は牧師である(父親のみ偽名で登場)。我が娘を自分の大切な存在と思い愛するのは分かるけれど、性愛へ発展する過程が理解できずに読んでいた。この父親は私は好きになれない!でも、少女の気持ちを色々と想像してゆく内に、彼女が好きになっていた。母親や祖母との女同士の関係も家族と言えども複雑。また娘と父親という関係もまた。

作家キャスリン・ハリソンの自分の過去の事実を書くという勇気、「書いておかなければ」という気持ちが伝わるものでした。最後まで読んで良かったです。

※ノン・フィクションですが、性的描写はさらりとしていたのも好感が持てました。

キス (新潮文庫)

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