ミスティック・リバー

ミスティック・リバーMYSTIC RIVER
2003年 アメリカ映画 クリント・イーストウッド監督

出演: ショーン・ペンティム・ロビンスケヴィン・ベーコンローレンス・フィッシュバーンマーシャ・ゲイ・ハーデンローラ・リニー

クリント・イーストウッド監督特集が放送されていて、やっと「ミスティック・リバー」を観る事が出来た。深い悲しみの残る作品で、「21グラム」を観終えた後の感覚にも少し近いものが私の心を占領した。そういえば、どちらもショーン・ペンが出ているのだなぁ...。

子供時分からの友人(そんなに仲良しでも無かったようだけれど)が25年ぶりに再会する。ジミー(ショーン・ペン)、デイヴ(ティム・ロビンス)、ショーン(ケヴィン・ベーコン)はそれぞれの道を歩き家族も居る。ある日、ジミーの娘が何者かに殺されてしまった、とても無残な形で。ところが、この作品はその犯罪を大きく描写はしない。娘を殺された父、その容疑にかかる者、その事件を捜査する刑事...そして、この3人は嘗ての少年時代をふと思い出し「もしも、あの時・・・」と思考する。そして、彼らを支える妻や子供たち。すべてに於いて、各人物の苦悩と葛藤が見事に描かれていた。それは監督の手腕でもあろうが見事なキャスティングを痛感した。

個人的には、特にティム・ロビンスが良かった。そして、お気に入り女優様でもあるマーシャ・ゲイ・ハーデンならではのあの戸惑う妻。この夫妻の心の動き、その描写が素晴らしいと思った。ショーン・ペンケヴィン・ベーコン(彼の悪役の作品は怖いけれど)もすっかり、演技派、個性派という彼等ならではの作品が顕著な昨今だと再認識できた。

ロバート・アルトマンの作品でのティム・ロビンスの印象が強いので、このデイヴ役の肩を落として歩く姿、冴えない顔つき、常に何かに捉われている様な怯え...少年期のある事件のトラウマの重さ!そんな人物を見事に演じていたと思え、作品と同時にティム・ロビンスの役者としての力量を実感出来て良かった。ポイント・アップ!

「21グラム」の時の様なやるせなさは感じたけれど、この映画を観て涙腺の極めて弱い私は涙は溢れなかった。しかし、今も何かを考え続けている...。