『愛する者よ、列車に乗れ』 パトリス・シェロー監督 (1998年)


愛する者よ、列車に乗れ:CEUX QUI M'AIMENT PRENDRONT LE TRAIN
1998年 フランス映画 パトリス・シェロー監督

出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、シャルル・ベルラン、ヴァンサン・ペレーズヴァレリア・ブルーニ・テデスキパスカル・グレゴリー、 シルヴァン・ジャック、ドミニク・ブラン

6月半ばから苦手な夏に負けてしまい「熱中症」と呼ばれるようなダメダメな不調が続いていた。それでもお仕事も映画も観ていたのだけれど...。初めて観た作品、再見した作品があるけれど、やっぱり再見ものは好きだからまた観る訳なので感動作が多かった。その中の一つにこの「愛する者よ、列車に乗れ」も。

パトリス・シェロー作品だし、トランティニャンが出ているので観たのだけれどこの再見は4年振りくらいだろうか?登場人物が多いのですっかり名前など忘れていてちょっと戸惑うのだった。でも、だんだん思い出したり、再発見を愉しむ事が出来た。登場人物が多く様々な人間模様が描かれるという作品は好き。

トランティニャンは双子の兄弟の二役で、登場するのを待ち遠しくしていたものだ。それでも、各人物それぞれが個性的でテンポ良くお話も進んで行くのでとても心地よい。トランティニャン扮する(兄の方)画家:ジャン=バティストの遺言は「愛する者よ、列車に乗れ。」と各人はリモージュ駅に向かう...こういうの好きな設定なので嬉しい。

バティストは同性愛者だったので、多くの嘗ての愛人や友人たちには男性も女性もいる。夫婦も居れば、エイズに冒されている青年ブリュノ(シルヴァン・ジャック)、ドラッグ中毒者...と様々。シルヴァン・ジャックはこの映画でしか知らないのだけれどすぐにチェック!繊細で弱々しい美しい青年だった。笑えるのはヴァンサン・ペレーズが女装していて意外と綺麗な足だったこと。ハイヒールにストッキング、鬘もメイクもとても似合っているので、「王妃マルゴ」や「インドシナ」の名演が違う所へ飛んでいく様だった。素敵な役者さまだ、全く!ドミニク・ブラン扮するカトリーヌの娘さん役のエロディちゃんもとても可愛い少女。彼女は「ポネット」にも出ていたデルフィーヌ・シルツちゃん♪

音楽もテンポの良さに貢献していた様に思う。一人のある種のカリスマ性を持つ画家と関わりが有り、かつそれぞれに愛や葛藤が有った。友人同士、夫婦間も含め様々な人間模様の描写が重くなく軽くなくと、私には相性の良い程度さで見終えたあとも気分が良かった。