『アリス』 ヤン・シュヴァンクマイエル監督 (1987年)

cinema-chouchou2007-05-07


この『アリス』の前に、『シュヴァンクマイエル映画祭』でいくつかの短編映画を観たのが最初。とても印象的だった。笑ったり、ちょっと気持ち悪かったり。これはヤン・シュヴァンクマイエル(ヤン・シュワンクマイエル:Jan Švankmajer)監督の長編第一作目となる『アリス』。先ず、このアリス役の少女クリスティーナ・コホウトヴァーがあまりにも可愛い♪しかし、このアリスのお部屋は子供部屋にしてはかなり不気味。アリス人形、これは1971年の『ジャバウォッキー』(これもルイス・キャロル原作)で先に登場しているのだけれど、他の創作キャラクターやオブジェたちがグロテスクなユニークさ。兎の歯はかなり長く、靴下が芋虫になったり、剥製も不気味。この不気味さが個性であり、シュールレアリスム作家としての比類なきヤン・シュヴァンクマイエルの世界なのだと想う。かなり強烈な作品(構想20数年と言われる)『悦楽共犯者』などはもっと衝撃的だった。アンドレ・ブルトン達が生きていたならどう思っただろう?これは、本国チェコでは親達からのクレームも凄いものだったそうだ。この『アリス』にしても本国よりも日本やイギリスでの方が評価が高いのでは?と想像したりもする。実写と人形アニメーションの融合で面白い動き。アリスのほぼ無表情な愛らしさ(妙にニコニコされると作品が変わってしまう)。本来は穴に落ちてゆくのだけれど、このアリスは机の引き出しの中に入っていく(まるで、『ドラえもん』みたい)・・・今ではDVDにもなっているし、レンタルコーナーにもあるので好き嫌いは分かれる監督作品群ながら、固定ファンはしっかり存在する。

ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』はお好きですか?というところから...どこが好きですか?と色々とお好きな方、好きでもないけれど知っている、大好き!、あまり好きではない...と様々だと思うけれど、私は子供の頃から好きで抜け出せずにいる。次第とその世界の深さに陥り、陥ったままではいけないので、バランスを保つようにしている(時々バランスは崩れるけれど)。

ジャン=リュック・ゴダールフランソワ・トリュフォーが共同監督した『水の話』(1957年の短編)収録ビデオの最後に、年代も違うシュヴァンクマイエルの短編『闇・光・闇』(1989年)が何故か収録されていた。この短編を代表作、名作に挙げるお方も多いようだ。実にブラックユーモアの極み!とにかく短編を多数60年代から制作し続けているアート監督(作家)。『地下室の怪』や『オテサーネク 妄想の子供』なども個人的には好きみたい。このグロテスクさを悪趣味と思われたり、生理的に拒否反応を示すお方も多いと想う。でも、私はユニークなナンセンスさ、不条理な世界、この特異なアート感覚は凄いと想い愉しめる☆

2008.2.4.(下記のものに追記)

ヤン・シュヴァンクマイエル アリス [DVD]
アリス/ALICE
1987年・スイス・西ドイツ・イギリス合作映画
監督・脚本:ヤン・シュヴァンクマイエル 製作:ペーター・クリスティアン・フューター 撮影:スヴァトプルク・マリー  出演:クリスティーナ・コホウトヴァー

毎月音響係でお手伝いさせて頂いている「お茶会」♪今回も降りしきる雨の中、可愛いお方、素敵な方々とまったりと楽しいひとときを(まだ完全ではないので、もう暫くお家で静養予定という情けなさ)。映画ブログに帰って書きますとお約束したのでさっさといたします〜♪

この『アリス』の前に、『シュヴァンクマイエル映画祭』でいくつかの短編映画を観たのが最初。小さな劇場ながらほぼ満員で、一番前の席しか見つからずそこで。同行した某▲氏の方が気に入った様子だった。私はこのような人形アニメーション映画は初めて観たので、感動というよりは不思議な面白さにやや不快さと愉快さが混合するような気分だった。後に、再見する機会に恵まれ今では好きな作品がいくつかある。この『アリス』は"BRIGITTE"でも仲良しのお友達とのコーナーで3〜4年前に冊子でご紹介させて頂いたもの。(こちらをご覧頂いている方でメンバーになって頂いている方は重複する箇所もございますが、簡単に感想を書きとめておきたいと思います。)

ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』はお好きですか?というところから。どこが好きですか?と色々とお好きな方、好きでもないけれど知っている、大好き!とまぁ様々だと思うけれど、私は子供の頃から好きで抜け出せずにいる。でも、次第とその世界の深さに陥り、陥ったままではいけないので、バランスを保つようにしている毎日。このヤン・シュヴァンクマイエルの長編第一作目となる『アリス』。先ず、このアリス役の少女クリスティーナ・コホウトヴァーがあまりにも可愛い♪しかし、このアリスのお部屋は子供部屋にしてはかなり不気味。アリス人形、これは1971年の『ジャバウォッキー』(これもルイス・キャロル原作)で先に登場しているのだけれど、他の創作キャラクターやオブジェたちがグロテスクなユニークさ。兎の歯はかなり長く、靴下が芋虫になったり、剥製も不気味。この不気味さが個性であり、シュールレアリスム作家としての比類なきヤン・シュヴァンクマイエルの世界なのだと思う。かなり強烈な作品(構想20数年と言われる)『悦楽共犯者』などはもっと衝撃的だった。ブルトン達が生きていたならどう思っただろう?これは、本国チェコでは親達からのクレームも凄いものだったそうだ。この『アリス』にしても本国よりも日本やイギリスでの方が評価が高いのでは?と想像したりもする。実写と人形アニメーションの融合で面白い動き。アリスのほぼ無表情な愛らしさ(妙にニコニコされると作品が変わってしまう)。本来は穴に落ちてゆくのだけれど、このアリスは机の引き出しの中に入っていく(まるで、『ドラえもん』みたい)・・・今ではDVDにもなっているし、レンタルコーナーにもあるので好き嫌いは分かれる監督作品群ながら、固定ファンはしっかりいると思う。ジャン=リュック・ゴダールフランソワ・トリュフォーが共同監督した『水の話』(1957年の短編)収録ビデオの最後に年代も違うシュヴァンクマイエルの短編『闇・光・闇』(1989年)が何故か収録されていた。この短編を代表作、名作に挙げるお方も多いよう。実にブラックユーモアの極み!とにかく短編を多数60年代から制作し続けているアート監督(作家)。『地下室の怪』や『オテサーネク 妄想の子供』なども個人的には好きみたい。このグロテスクさを悪趣味と思われたり、生理的に拒否反応を示すお方も多いと思う。でも、私はユニークなナンセンスさ、不条理な世界、この特異なアート感覚は凄いと思う。

2007.5.7.

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