『ハウス・オブ・カード 心の扉』 マイケル・レサック監督 (1992年)

cinema-chouchou2008-01-12


ハウス・オブ・カード 心の扉/HOUSE OF CARDS
    1992年・アメリカ映画
監督・原作・脚本:マイケル・レサック 撮影:ヴィクター・ハマー
出演:キャスリーン・ターナートミー・リー・ジョーンズ、アーシャ・メニーナ、シロー・ストロング、エスター・ローレ、パーク・オーヴァーオール、ホアキン・マルティネス

アーシャ・メニーナは、映画『心の扉』(House Of Cards)の中で、キャスリーン・ターナーの娘役を演じた少女。劇中でも実年齢共に6歳だったようだ。私はこの作品でしかこのアーシャ・メニーナを知らないけれど、初めて観た時の感動はとても大きかった。作品は1992年(公開は1993年)のものなので、もう15.6年前なのだと想うと不思議な位、鮮明な想いが甦る。大好きな映画のひとつであり、観たタイミング(最初は偶然深夜のテレビだった)が、また私は既によい大人だったけれど父の死の後だったことと何か関係がるように想う。6歳の少女の気持ち、その娘の閉ざされた神秘の心を必死で理解しようとする母親の姿。また、古代マヤ文明の教えがキーワードにもなっている。そして、現代の医学、児童精神科医の立場。この医師役には渋いトミー・リー・ジョーンズが扮している。彼は様々な役をこなすお方で主役も脇役も素晴らしいものが多い。この医師役は素に近い感じを受けるのも、本来ハーバード大学卒のエリートなのでこのような役柄も自然なのかも(刑事役や悪役も好きだけれど)。

いつもの如く、下書きなど全くしないでバァ~っ!と書き綴ってしまうので、支離滅裂でお話が行ったり来たりする。この映画の原題は『カードの家』。考古学者の父と建築家の母、そして兄マイケルと4人で3歳からメキシコで過ごしていたサリー。父の古代遺跡の修理作業中の事故死により残された3人はアメリカに戻る。明るくお喋りな少女だったサリーに異変が生じだす。全く言葉を誰とも交わさず(時折、いつもと違う状況の時など奇声を発することはある)、遂に自閉症と診断され医師の治療を受けることになるのだけれど、全く回復しない。何も話さない娘の心を解き放つのは結局は母だった。サリーは自分のお部屋でトランプで家つくりをしていた。それを兄が見て驚き、母は建築家でもあるのでその巧妙な構造に驚愕と同時に歓喜する。カメラで角度を変え写す。そして、それを元に木材で自らその家を再現する試み...それまでの過程も地味ながら切々と訴えかけてくるものがある。それはやはり”親子の絆”であり”愛”の尊さなのだと想う。そこに優れた現代医学が入り込む余地はないのだとさえ想ったものだ。心の病は今も多くの人が抱えながら生きている。子供も大人も...。小さな少女(童女)は自分のそのような状態も、また愛する父の死も受け止めることはできない。やはり母親とは凄いなぁ!っと想うのだった。キャスリーン・ターナーも適役で、精神医学の権威に真っ向から立ち向かう姿が強く美しい。監督のマイケル・レサックが自ら原案と脚本を書いたもの。子供の心の奥を、鋭敏な大人が覗いたときに感じる魅惑をいつも感じていたらしく、以下のような言い伝えを基にこの映画は創作されたのだそうだ。

「古代マヤ文明の伝説には全知全能の視力を与えられた”見透すことができる子供”がいて、夢を見ている間に秘められた力を高揚させて、世界が本当に見せたいと思う姿を見ることができる。」

”人は死ぬと月へ行くんだよ。そして選ばれた特別な子供と、言葉を使わずにお話をするんだ。”

サリーの目の前での父の事故。その悲劇はこのインディオの教えてくれた言葉と共にサリーの心の奥に深く刻まれていた。アメリカへ戻り小学校へ通うサリーながら、やたらと木の上の高い所へ登ろうとするのだ。それは、少しでもお父さんのいる月に近づきますように...という純粋な子供心から。このような役柄故に、劇中、このアーシャ・メニーナの台詞は少ない。でも、可愛くてお話と共に地味ながらもじわじわと伝わるものは私には大切なものに想え、教わることが出来、私の心を癒してもくれた☆

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