『モンパルナスの灯』と『モディリアーニ 真実の愛』

モンパルナスの灯モンパルナスの灯/MONTPARNASSE 19
1958年・フランス映画
監督・脚本:ジャック・ベッケル 撮影:クリスチャン・マトラ 音楽:ポール・ミスラキ 出演:ジェラール・フィリップ、アヌーク・エーメ、ジェラール・セティ、リリー・パルマー、リノ・ヴァンチュラ、マリアンヌ・オズワルド
夭折の画家モディリアーニの生涯に興味を覚えたのは、映画『モンパルナスの灯』を観てから。美術関係の書籍を読むことは好きなので、モディリアーニの有名な作品を何点かそれらの中で鑑賞していた位の私は、ジェラール・フィリップとアヌーク・エーメという美男美女のお姿が拝見したいという理由からだったのだけれど、とても胸に響き心に残るものとなっていた。なので、劇中で”モジ”と呼ばれているように、ついつい”モジリアニ”と言ってしまう。

「アメデオ・モディリアーニと妻ジャンヌ・エビュテルヌ」のことを少し綴ったのだけれど、此方ではもう少し映画のことをと想う。モディリアーニは病身で貧困、お酒に溺れ、そして、薬物(ハッシシだと書かれていたのを読んだことがある)もという生活の中、自分の描く絵、そこに向かう心は最期まで貫き通したようなお方でその純真さと不器用さに人間味を感じた。お金持ちの収集家が高く買ってくれたかもしれないチャンスも余計な一言でふいにしてしまったり...。36歳という若さで亡くなったモディリアーニ。そして、同じく36歳でお亡くなりになったジェラール・フィリップ...贔屓目いっぱいで観てしまうのだけれど、それでもこの時に既に病魔に侵されていたであろうジェラール・フィリップの役に挑む想いはどんなだったろう!!美しいだけではない、演技力も兼ね備えたお方だっただけに...と二重で観てしまう。そして、モディリアーニというとどうしてもこの『モンパルナスの灯』と対になっている私。この映画には他にも印象的なお方がおられる。冷淡な画商モレル役のリノ・ヴァンチュラ!渋いお気に入りの男優さまのお一人。モジの死を見届けてから、ジャンヌには知らせずに作品を買い占める様子。そして、何も知らずに涙を浮かべて喜ぶ美しいジャンヌ。ベアトリス役のリリー・パルマーも素敵だし、また、シャンソン歌手でもあるマリアンヌ・オズワルドも出演されているし、とても豪華な俳優陣なのも嬉しい。

2004年作品の『モディリアーニ 真実の愛』も気になるので観たのだけれど、予想以上に良かった!アンディ・ガルシアモディリアーニを演じていて、何か実在のモディリアーニは此方の方が似ているように感じた、体型や風貌など。この映画は敢えて伝記を基にしたフィクションであり、モディリアーニと妻ジャンヌの絆、ロマンスに重点を置いたもののよう。また、ライバルだったと言われるピカソ、その他ユトリロやマックス・ジャコブ、コクトーまで登場(クセのある役者方が演じている)するのも愉しいものだった。エルザ・ジルベルスタインは80年代から作品は結構観ていて、素敵にお年を重ねている女優様だなぁ〜と想う。しかしながら、アンディ・ガルシアは私はあまり詳しくない。幾つか出演作を観ているけれど然程好きでも嫌いでもない...という印象だった。でも、このお方もキューバからの移民なので、生粋のアメリカ人とは佇まいが違う。そして、このモディリアーニ役はお似合いに思えた、素敵だった。他の主演作品をあまり知らないので、また機会があれば観てみようとも想う(課題が増えるばかり)。

モディリアーニ 真実の愛モディリアーニ 真実の愛/MODIGLIANI
2004年・アメリカ/ドイツ/フランス/イタリア/ルーマニア/イギリス合作映画
監督・脚本:ミック・デイヴィス 撮影:マニュ・カドッシュ 音楽:ガイ・ファーレイ  出演:アンディ・ガルシア、エルザ・ジルベルスタイン、イポリット・ジラルド、ウド・キア、オミッド・ジャリリ、エヴァ・ヘルツィゴヴァ、ランス・ヘンリクセン、ピーター・キャパルディ、スージー・エイミー、ミリアム・マーゴリーズ