『ああ結婚』 ビットリオ・デ・シーカ監督 (1964年)

ああ結婚 [DVD]
あゝ結婚:MATRIMONIO ALL'ITALIANA
1964年 イタリア映画 

監督:ビットリオ・デ・シーカ 出演:ソフィア・ローレンマルチェロ・マストロヤンニ、アルド・ブリージ

ソフィア・ローレン。若い頃は、この素晴らしきイタリアを代表する女優様が何故か苦手だった(今は素晴らしく好きでいる!)。理由はあまりにも短絡的というか馬鹿げた偏見(あるいはコンプレックス?)によるものだったと今なら思える。そう!あの肉感的なプロポーション。スレンダーな女優様が基本的に好きな傾向には変わりはないけれど、この「ああ結婚」のヴァイタリティ溢れる女性をランプリング様が演じる事は出来ない。また、それは全く異質の作品となるでしょうから。

出来るだけ、様々なものを受け入れたい。私も丸くなったというか年を重ねたお陰で今はこうして色々な作品を鑑賞しては愉しむ事ができるのだ。初めて観たソフィア・ローレンは「ひまわり」だった。そのコンビによる作品ながら、こちらはちょっとコメディ風とも言える作風。

さて?タイトルの「ああ結婚」の"ああ"に含まれるものが分かった気がした。ソフィア・ローレンは娼婦役。娼館に通っていたマルチェロ・マストロヤンニにとっては、数居る愛人達の一人にすぎない女性(ソフィア・ローレン)と結婚させられてしまうという物語。それも実は3人の隠し子が居た。「結婚」にも様々、夫婦にも様々...そんな思いで観ていた。

最後に「やったわぁ〜!」という様な生き生きとした笑顔のソフィア・ローレンと、「まあ仕方ないかぁ...う〜む」といった表情のマストロヤンニ。そして、後ろには3人の子供達で家族写真を撮る様なシーンで、私はもうクスクス笑ってしまった。

そして、全編を流れるユニークな音楽がまた最高だった!アルマンド・トロヴァヨーリだものなぁ〜ってとても愉しい気分になった。やっぱり、イタリア映画は独特。もちろん、各国ならではの雰囲気というものがあるのだけれど、この楽天的というか悲哀を描いてもポップというのだろうか?

マストロヤンニはとても好き。観た作品につまらないと思ったものはない。ヴィスコンティフェリーニ作品はもちろん、晩年の年老いてからのものも。主張し過ぎないのに存在感を残すのだ。ちょっとしたゲスト参加の僅かのシーンですら、「いいなぁ〜マストロヤンニ。」って思ってしまう。こんな役者様がだんだん居なくなってしまうのだろうなぁ...。