狼よさらば

狼よさらば:DEATH WISH
1974年 アメリカ映画 マイケル・ウィナー監督

出演:チャールズ・ブロンソンホープ・ラング、ヴィンセント・ガーディニア、スティーヴン・キーツ

先日はアラン・ドロン大会で「レッドサン」「さらば友よ」。何だか面白いタイミングで「狼よさらば」と意図せずブロンソン作品が続く。このお方の存在感って独特なものがある!父が大ファンだったのが、今なら分かる気がする...あのアウトローな雰囲気にヒーロー像を見るのだろうか。私はこの偉大なブロンソン作品というと60〜70年代に集中していて、ほとんど80年代以降の作品を観ていないように思う。この「狼よさらば」の続編が後々まで続いているのだけれど知らないのだ。

この映画はもう30年も前の作品。今観るとこれはアメリカのお話と遠いものでもなくなっている。毎日の様に日本でも殺人事件が報道される。日常のバイオレンスに恐怖と不安を抱く日本、子供の頃のようなのんびりした時代感ではもうないと感じる。そんな事をも考えたりして観ていた。

ブロンソン扮するカージーは、街のチンピラ達に妻と娘を襲われ、妻は死に娘はショックのあまり廃人の様な状況に追いやられてしまった。その怒りと苦悩は計り知れないものだろうが、ブロンソンのあの雰囲気なので泣き崩れたりはしない。ある復讐なのか、街で遭遇する暴力、そのチンピラ達を次々と銃でやっつけていく。それも寡黙に的確に見事なのだ。色んな作品で個性的な存在感を残すヴィンセント・ガーディニアは警察役。メディアはこの何者か分からないチンピラ退治の男を英雄視してゆき、警察はこれらの日常茶飯事な事件達に対処しきれず終い。アメリカは自己防衛の為に銃を保持する国だと知った時はとても怖い国だと思ったけれど、随分時代も変わり年も重ねた私はこの住む日本ですら怖い部分があるので、随分と嘗て観た感覚とは違ったものを感じた様に思う。

ラストのブロンソンの指銃とあの笑み。それは続編を示唆しているのだな。男性が惚れる男性という、そんな粋なブロンソンをまた痛感していた。カッコイイ!