『ぼくのバラ色の人生』 アラン・ベルリネール監督 (1997年)

cinema-chouchou2005-10-03


精神的にも体調的にも未だに克服できない苦手な夏が遠退いてゆく...そして、大好きな秋・冬が近づくと思うと少し気分が良い。いつもそう。もうすぐ、美輪明宏さまの音楽会、そして11月はシモーヌ深雪さまのイベント、60年代の幻のフランス映画「アイドルたち」の公開記念イベント...と私の好きな楽しみなことが待っている。やっぱり秋が好き。

ちょっと、気分を良くしてとっても大好きな映画「ぼくのバラ色の人生」が観たくなった。時折、急に針を下ろしたくなるレコードたちのように、映画も同じ。ある衝動的なもの。

この映画はベルギー映画らしい空気感、美しい色彩(イヴ・カペは凄いと思う)、そして、何よりも主人公の『女の子になりたい男の子』リュドヴィックの可愛らしさ〜♪この少年の純粋な気持ちを押し付けがましくも小難しくもなく、ただ優しい視点でファンタジックに描くアラン・ベルリネール監督。その上、音楽はドミニク・ダルカンで主題歌はザジというのも嬉しい。

リュドヴィックは好きな男の子と結婚の約束をしたり、女の子のお洋服を着ていたい。まだ7歳の少年の無意識の女の子になりたい夢(性同一障害という問題を抱えていらっしゃる方はきっと少なくないのかも?)。美しく鮮やかな色彩映像のなかで、あの嬉しそうな可愛らしい表情を見ると「キュン!」となる。私個人はこのような問題で苦しんではいないけれど、このような人たちをもっと受け入れてあげられる社会がいいなぁ〜って思う。仕方ないのだもの。この映画の中でご近所の人たちからの陰口や阻害感に優しいお母さんもヒステリックを起こしたり...挙句の果にあの可愛い髪形を超短髪にされるシーンとか、胸が痛い。

このリュドヴィックがこの先どのような大人になっていくのかは分からないけれど、引越し先の新しい土地でクリスティーナという男の子になりたい女の子に出会うので「良かった〜!」って嬉しくなるのだ。社会の眼差しは厳しい。家族の寛容な愛がなければこのリュドヴィックは行き場がなくなってしまう。何も悪いことなどしていないのに。後半、激怒していたお父さんが彼を救ってくれる...色々な問題はあるけれど、受け入れてくれる家族の存在がリュドヴィックにとって幸いなこと。時折現れる夢の世界のシーンもとてもキュート。

全く湿っぽくもなく、色鮮やかに美しい「ぼくのバラ色の人生」はぼくであるリュドヴィックの気持ちを監督が優しく描いている。なので、観終えたあとの爽快さというか不思議な幸福感が得られるのかもしれない。と同時にもう少し現実的にこのような問題を考えたりもするのだけれど。

ジョルジュ・デュ・フレネ:GEORGES DU FRESNE 『ぼくのバラ色の人生』 リュドヴィック少年♪ : クララの森・少女愛惜

ぼくのバラ色の人生 [DVD]
ぼくのバラ色の人生:MA VIE EN ROSE
1997年 ベルギー/フランス/イギリス合作映画 監督:アラン・ベルリネール
出演:ジョルジュ・デュ・フレネ、ジャン=フィリップ・エコフェ、ミシェル・ラロック、エレーヌ・ヴァンサン、ダニエル・ハンセン、ジュリアン・リヴィエール