死刑台のエレベーター

死刑台のエレベーター:ASCENSEUR POUR L'ECHAFAUD
1957年 フランス映画 ルイ・マル監督

出演:モーリス・ロネジャンヌ・モロージョルジュ・プージュリーリノ・ヴァンチュラ、ヨリ・ヴェルタン、ジャン=クロード・ブリアリ、シャルル・デネ
音楽:マイルス・デイヴィス

今年はルイ・マル監督の没後10年だそうだ。遺作となった「42丁目のワーニャ」からもう10年以上も経っているのだなぁ〜と時間の過ぎ行く速さを想った。

とても久しぶりに観た「死刑台のエレベーター」。最初はルイ・マルという監督作品であることも知らず、ジャンヌ・モローだけは既に好きだったので観ていた。ロマンスものではなく、とてもスリリングなサスペンス作品だった。あの「太陽がいっぱい」のモーリス・ロネがエレベーターの中に閉じ込められてしまう、その様相とお話の展開にハラハラしながら。そう、私は恐怖症を色々持っているみたいで、高所恐怖症が一番酷いと思う。そして、閉所恐怖症も・・・エレベーターに乗る時緊張するのだ。そんな私なので、この映画がどれ程息詰まる思いだったかことか!

今回気づいた事だけれど、ルイ・マル監督はこの名作を僅か25歳という若さで作り上げたのだ!凄すぎる。今観ても古さなど感じさせない。そして、名優たちのキャスティングも豪華だけれど、やっぱりこの映画はマイルスの即興音楽が無ければ!と。マイルスはスクリーンを観ながらその場で生み出した音楽だと知った時も驚いたもの(シネ・ジャズと呼ばれる名作のひとつでもある)。流石!がいっぱいの名画。

ジャンヌ・モロー扮するフロランスは社長夫人。その会社で働く技師ジュリアンがモーリス・ロネ。実は二人は恋愛関係にあり、邪魔な社長を殺す計画を立て実行する。ところが、計算出来なかったできごとが起こる。ジュリアンは証拠品を忘れて来たので取りに戻るが、エレベーターの中で、管理人に電源を落とされてしまう。誰も居るはずの無い週末だったから。そこから、閉じ込められ、焦りもがく様子。

ジュリアンの車は若いカップルに乗っ取られ、彼らも別の所で犯罪を起こす。「助け出してあげるわ。」とフロランスは独り言を呟く。カッコイイ!ジャンヌ・モロー。「どうなるのだろう?」と観る者を惹きつけ離さない。そして、粋なところだけれど、電話で会話する以外、ジャンヌ・モローモーリス・ロネが直接会話するシーンなどはないのだ。

このモノクロームでクールな映像は50年近くも前の作品だということなんて忘れさせる事を可能にする。ルイ・マルはその後も、沢山名画を残してくださった。好きな監督さんだとやっぱり再認識できた。