『シベールの日曜日』 セルジュ・ブールギニョン監督 (1962年) 

cinema-chouchou2006-05-26

シベールの日曜日/CYBELE OU LES DIMANCHES DE VILLE 

1962年 フランス映画

監督:セルジュ・ブールギニョン 
原作:ベルナール・エシャスリオー 『ビル・ダヴレイの日曜日』
脚本:セルジュ・ブールギニョン、アントワーヌ・チュダル 
撮影:アンリ・ドカエ 
音楽:モーリス・ジャール 

出演:ハーディ・クリューガー、パトシリア・ゴッジ、ニコール・クールセル、ダニエル・イヴェルネル、アンドレ・オウマンスキー 

◆あらすじ◆
インドシナ戦争パイロットだったピエール(ハーディ・クリューガー)は少女を射殺したと思いこみ、以来、墜落のショックから記憶喪失性となっていた。恋人マドレーヌ(ニコール・クールセル)と同棲し、芸術家の友人カルロスもピエールを優しく見守っていた。ある日、ピエールは一人の少女(パトリシア・ゴッジ)に出会う。少女の名はフランソワーズで父親に見放され寄宿学校(養護院)に入れられた日だった。父と娘を装い、二人は日曜日毎に森で会い遊んでいるうちに、互いの孤独な心は笑顔を甦らせ、次第に愛情が生まれていた。森で楽しいクリスマスを過ごし、少女は本当の名前はシベールだと告げる。マドレーヌがピエールの不在に気づき、友人が不審感(偏見)から警察に連絡する。警察は勘違いしピエールにピストルを向けた。ピエールの死はシベールをまた一人ぼっちにしてしまった。泣き叫ぶ悲痛なシベール、悲しい結末。美しいモノクロームな映像と純粋で孤独な二人、愛くるしいシベールの表情や仕草・・・いつまでも色褪せないでいる。

★この映画が大好きで、色んなところに「好き」と馬鹿みたいに書いたりしてしまう。とても古いフランス映画なのに、何度観ても号泣。時空を超える。ピエールは大人の男性だけれど、純粋な少年の心を持つ。そんな清らさがお互いの孤独をうめていたのだと思う。でも、ハッピーエンドではない。この名作がまだDVD化されない。色眼鏡や偏見の周囲の眼差し...日本でも少年少女の被害が多発している。色んな事を考える事が出来る、今では。

2006.5.26.

《私の少女イコン:パトリシア・ゴッジ(PATRICIA GOZZI)》 

シベールの日曜日』を10数年振りに観る事が出来た。当時の私は12才の少女役のシベールに深く感情移入して魅入ったものだ。最後の悲しい結末に号泣した。「可哀想なシベール!」と。父親に捨てられ(修道院の寄宿学校に入れられる)、もう身寄りは誰も居ない。12才で孤独な少女はフランソワーズと名前まで変えられてしまう。このSYBELEという美しい名前はギリシャの神の名。本当の名前を告げたシベール。そして、記憶を失った30才の男性はシベールと過ごす日曜日は少年時代を取り戻すかの様だった。もう眩暈の悩みも消えていったのに...。理解の無い大人達は彼を変質者と断定して射殺してしまう。「もう私の名前はないの。」と泣くシベールの最後の表情。川辺で笑いかける可愛らしさ。真っ白な帽子が良くお似合い。再び、この大きな可愛い瞳は悲しいクリスマスと共に儚く美しく私の心に刻まれた!

2004.10.24.