『日曜はダメよ』 ジュールス・ダッシン監督 (1960年)

日曜はダメよ/POTE TIN KYRIAKI
1960年・ギリシャ映画
監督:ジュールス・ダッシン
出演:メリナ・メルクーリ、ジュールス・ダッシン、ジョージ・ファウンダース

かっこいいお方!”ギリシャの太陽”。メリナ・メルクーリは歌う女優さまでもあるけれど、『日曜はダメよ』は女優さまとしての代表作のひとつだと思う。主題歌も有名♪監督はアメリカ人のジュールス・ダッシン。当時の赤狩りでヨーロッパで活動していた頃のもの。おしどり夫婦でメリナ・メルクーリが1994年に亡くなるまで活動を共にしていた。この映画はユーモラスな恋愛ドラマ。堅物の考古学者ホーマー(ダッシン)は粋な娼婦のイリヤ(メルクーリ)に恋をする。イリヤギリシャの港町の人気者。日曜日だけは大好きなギリシャ悲劇を観に行くためにお仕事はお休み。そして、酒場で気に入った男性だけを招いてウーゾというギリシャのお酒を飲みながらパーティーを開く。この映画は冒頭からメルクーリの魅力に溢れているのだけれど、名場面のひとつは酒場で見られるグリーク・ダンスのシーン。ブズーキと呼ばれるギリシャの民族楽器をバックに、肩を組み上半身は動かさずに首と下半身だけで踊るもの。きっと難しいだろうなぁ〜と思うけれど、観ていてとっても楽しい場面。イリヤは無学ながら数ヶ国語を話せる。それはお客の男性達から学んだものだと颯爽としている。対照的なホーマーは教養豊かながら人生を楽しめないアメリカ人。さり気なく母国の批判も見え隠れする。

ジュールス・ダッシンの息子さんは、70年代のシャンソン界のスターであるジョー・ダッサン(先妻さんとの間の息子さんで、惜しくも1980年に42歳で他界されている)。あまり有名ではないけれど娘さんのジュリー・ダッサン(ブリジット・フォンテーヌの初期の作品にも参加されてる)もいらっしゃる。ややこしいけれど、監督はハリウッドで40年代から映画を撮っていて、赤狩りでヨーロッパに。ギリシャが軍事政権にあった時期はメルクーリ共にアメリカに一時渡米(亡命)。この映画はアカデミー賞にもノミネートされアメリカでもヒットしたので、世界的にアメリカ読みの父、フランス読みの息子たちとなったのだろう...。激動の時代をこの夫婦は軽やかでいながらも一貫した意志の強さを感じさせる。それにしても、メルクーリの笑顔、大きな笑い声を聞くと元気になれる。

日曜はダメよ [DVD]