『カメレオンマン』 ウディ・アレン監督 (1983年)

カメレオンマン:ZELIG 
1983年・アメリカ映画
監督・脚本:ウディ・アレン 撮影:ゴードン・ウィリス 衣装デザイン:サント・ロカスト 音楽:ディック・ハイマン
出演:ウディ・アレンミア・ファロー、ギャレット・ブラウン、デボラ・ラッシュ、ステファニー・ファロー、ウィル・ホルト、アリス・ビアズレー

”ウディ・アレン”ファンはとても多く熱狂的な方が多いので私のような呑気ながらも好きで観ている者とは色々ご意見が違うかもしれない。かなり研究家の域まで達しているファンのお方もおられるくらい。私はというと、最初に観たウディ・アレン映画は『アニー・ホール』だった。テレビでだけど直ぐに気に入った!特にダイアン・キートンが素敵で♪そして、リアルタイムはミア・ファローとのコンビになってからの作品群。これも、私はミア・ファローが大好きなので♪・・・ということは、ウディ・アレンよりもダイアン・キートンミア・ファローを重要視していたという訳なのだろう。どうしてか分からないけれど、嘗ては特にこのような女優さまばかりを観ている傾向が強く、お話は二の次となるのでお気に入りは何度も観て違う感動を得ていく。そんな映画の見方をしていたように思う。別に一映画好きな者、人それぞれの楽しみ方があってもいいかなぁって思う。

ウディ・アレンはそれでも気になる監督なので、可能な限り観ているけれど、個人的に一等好きな可笑しな作品は、この『カメレオンマン』。当初はミアをお目当てに観たものの面白くてゲラゲラ・クスクス、あるいは笑いが固まるかの様な感じで最後まで楽しかった。主人公のゼリグ(ウディ・アレン)はどんな状況にも人達にも順応し、その場の人達と同化してしまうのだ。時には、小説家や劇作家、あるいはヒトラーの側近やヤンキーズの選手、黒人ミュージシャンやインディアン・・・と摩訶不思議な特異体質の持ち主。それらは自分の意思とは無関係な場合にも起こる。そこで、フレッチャー博士(ミア・ファローはとても好演していると思う)が彼を色んな方法で実験研究したりする。さらに、その時代背景が1920年〜30年頃となっているのでモノクロで本物のニュースや実在した人物達と一緒にフイルムの中にゼリグがいるのだ!なんとまぁ!フェイク・フィルムが時に錯覚を招くくらい上手く出来ていて、当時の証言者たち(本物と偽者が混ざっている)のシーンはカラーとなり、徹底したフェイクさが愉快極まりない。ただのコメディとも違い、このセンスは流石だと思う。人種や職業など関係なくみんな同じ人間なのだというようなことも感じられる。それを奇想天外な作風で描くとても大好きな作品。また、ウディ・アレンは登場するので、また言いたい事はその都度。この方に関しては好きさと好きではないという感情が入り混じる...それでも素晴らしい監督に違いない。今はもう英国に移り住んでいるらしく、ヨーロッパでの撮影作が続くのでそれらも楽しみではあるのだけれど...☆

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