『マイ・プライベート・アイダホ』を再見してふと気付いたこと

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1991年・アメリカ映画
監督:ガス・ヴァン・サント 出演:リヴァー・フェニックスキアヌ・リーヴス、キアラ・カゼッリ、ウド・キア
不思議なことに、このガス・ヴァン・サントの91年映画をテレビで偶然遭遇し再見。先日のカンヌでも60回記念賞を監督は受賞されて良かった。実は去年『愛とよばれるもの』も観ていたり、じんわりと故リヴァー・フェニックスのことが過ぎるようになっていた。当時から周りにファンの友人たちが居た。93年の突然の死に泣き崩れる女の子も知っている。追悼特集号の雑誌も覚えている。でも、私は彼の役者としての魅力や死を今頃感じ、今追悼しているような気分。93年10月、その2ヶ月前に私の父が他界した。そんな時期だったのだと今は結構落ち着いて思い出せるようになっている(進歩かな?)。そして、彼は間違いなく夭折の青春スターとして永遠な存在で、子役時代から僅か23歳という若さでの死までに残された映画と共に。

そこで、ふと。私には青春スターや青春アイドルという存在が今までいないことに気付いた。ボウイはカリスマ☆でも、何故、同世代の歌手や俳優に夢中にならなかったのだろう。異国のスターを好きになった順番は、アラン・ドロンシャーロット・ランプリングマレーネ・ディートリッヒジョン・レノンデヴィッド・ボウイヘルムート・バーガードミニク・サンダダーク・ボガード〜ビヨルン・アンドレセン〜ルキノ・ヴィスコンティ〜ブライアン・フェリー〜ケイト・ブッシュ〜ポール・シムノン〜スージー・スー〜デボラ・ハリー〜ニコ〜ブリジット・フォンテーヌフランソワーズ・アルディ〜マリアンヌ・フェイスフル〜パティ・スミス〜ジェーン・バーキン〜ピーター・マーフィー〜ナスターシャ・キンスキーミレーヌ・ファルメール...この辺りから順番不確定。もう天国におられるお方や60代を超えるお方が多い。若手でビヨルンかピーター・マーフィーかシムノン、ケイトかミレーヌ。アラン・ドロンからディートリッヒは小学生、中学生直前にジョン、そしてボウイの衝撃はそれはそれは天にも昇るかの如く、経験したことない感動というのか心の喜びだった。それは彼らは表現者でありながら素晴らしい歌声とメロディを持っていた。

リヴァー・フェニックスを見つめていると、何故か私自身の青春時代が巡るのだった。その時に一緒にいた大切なものたちは今も変わらない。頑固者にも程があるし、もう時代に取り残されているとも言えそう。でも、好きなのだからどうしようもない恋の話。私は音楽や映画に恋をしてきたのだ。父の長嶋茂雄さんに対する眼差しや巨人を応援する姿、アラン・ドロンにほんわか〜♪した表情でグラビアを眺める母。そんな様子は青春群像、スタアあるいは英雄って感じだったもの。私はそんな両親から多くの影響を受けてきたけれど、自分の同世代スターが希薄なのだ。挙げてみると『アナザー・カントリー』以降の英国勢の美しい男優方か、フランスだとジャン=ユーグ・アングラード、アメリカは特に少なくマシュー・モディーン...やっぱり少しお兄さま達ばかり。女優さまだとナスターシャとジョディ、エマニュエル・ベアールにキュンとなっていたけれど、アイドルではないのだ。誰かいないものかと辿って行くと、オスカルさまやトーマ・ヴェルナー、藤堂さんと竜崎麗香、フランシス、キャンディ・キャンディ...と漫画の世界におられた♪

全く『マイ・プライベート・アイダホ』はどうなっているのか?!リヴァー・フェニックスよりも無機質な感じのキアヌ・リーヴスの方が好きだったけれど、この映画にはゲイ・イコン的存在でもある異才ウド・キアやキアラ・カゼッリもいるし、男娼役で奇病のナルコプレシーという難役を演じるリヴァー・フェニックスが切なく美しい。彼の斜め角度からのある瞬間に刺さるものがある。出来ればセミロングの頃がより好き。演劇学校にも行っていない天性の才能はその役柄になりきるという事が出来、それが災いにもなったのだろうか?彼の死について、トニー・カーチスが「(ハリウッドには)妬み嫉みがいっぱいはびこっているからね。」とコメントされていたことを思い出す。どういう意味だろう?とても怖い気もする。まだ生きていたなら30代なのに...。キアヌもその後、ゲイ疑惑だのどうのこうのと酷評された時期があった。そんな報道を耳にする度に”ゲイでもいいじゃない。”って思っていた、綺麗だし♪多くの偏見や膨らむイメージの中に、人々の妬みや嫉みがあるのだろう。スターの宿命とも言えるけれど、私達の生活の中でも大なり小なりそういう日々を生きているのだと思う。そんな毒をやっつけるのは尊い”愛”しかない。様々な愛が人それぞれにある。気付かないだけですぐ傍にあったりもする。私は親愛なる友人たち(付き合いがとても悪い私なのに)や家族、そして映画や音楽や絵や詩篇たち、最近ちょっと遊んでいないお人形たち(一人、恩人が居る)...十分過ぎる幸福。辛いことを挙げる事は簡単で山のようにある。今私は体調不調だけれど心の平穏さを感じている、そういうお年頃なのかな?この先のことは分からない、計画性が全く無い。でも、出来るだけ想いに正直でいたいと願う。時に無理もしないといけないし、妥協も譲歩も必要だけれど、きっとどうにかなると思う。辛くて当たり前の人生だもの。私は両親の早過ぎる死から余った年月を頂こうと思っている。なので、持病もお友達だと思ってゆっくり共に生きてゆけそうな予感。”素晴らしき哉、人生!”♪

「追記」
こんな私なもので、リヴァー・フェニックスについて詳しくないのです。ずっと今も大好きなファンの方々が大勢おられる。ジョニー・デップとの共同経営だったバーで亡くなったと記事で読んだけれど。モルヒネとコカインの多量摂取が死因だとも。サマンサ・マシスが最後の恋人でお似合いだったと思う。残された妹や弟たちも役者になっている。なにより、どこか翳りのある美しさ(内向する魂かな?)をいくつかのお写真を眺め再認識しているところです。間違いや変な記述がございましたらお許しください。