『チップス先生さようなら』 ハーバート・ロス監督 (1969年)

チップス先生さようなら(1969) [DVD]
チップス先生さようなら:GOODBYE, MR. CHIPS
1969年・アメリカ映画
監督:ハーバート・ロス 出演:ピーター・オトゥールペトゥラ・クラーク、マイケル・レッドグレーヴ、ジョージ・ベイカー、ジャック・ヘドレー、シアン・フィリップス、アリソン・レガット

ピーター・オトゥールが好きで、60年代の英国ポップス界の華のおひとりであったペトゥラ・クラークも好き(暫く、結婚後フランスに住んでおられたのでフランス語曲、フレンチポップスとしてもヒット曲が沢山あります♪)。そして、寄宿舎もので少年たちがいっぱい!原作はイギリスの作家ジェームズ・ヒルトンの『グッドバイ・ミスター・チップス』。サー・マイケル・レッドグレーヴ(ヴァネッサ・レッドグレーヴのお父様)、舞台も英国、少年たちも...私は最初は英国映画だとばかり思い込んでいたもの。年月が経ち、欧州映画好きと言ってもアメリカ映画も好きな作品は山のようになってきた。ハーバート・ロス監督作品は自然と好きで観ているうちに、この作品もそうだと判明した次第。素晴らしい楽曲たちが並ぶ一人の教師の愛の物語。ミュージカルでもあり、感動的なドラマでもあるのでカテゴリーなどは無意味に思うのだけれど...。

とっても好きな映画でかなり長くなりそうなので出来るだけ簡潔に。古き良き時代の英国の雰囲気を真面目で教育熱心で、堅物ながら芯の通った愛に溢れた教師アーサー・チッピングとその奥様キャサリン。二人に子供はいなかったけれど生徒たち(多くの少年たち)はチップス先生とキャサリンの子供たちのような存在だった。華やかな舞台女優のお仕事から堅実な教師の妻への人生の選択をしたキャサリンも素敵だ。子供たちを温かく(時に厳しく)見守るアーサー・チッピングの人生。時は第二次世界大戦という時代、慰問に出向いた妻の死を知らされても授業を続ける姿、老後退職しても校舎の近くに住み妻の写真が飾られている。2時間半以上の映画ながら全く長くは感じない。ラストに向かう辺りから涙腺の弱い私は涙する。素晴らしい!という言葉をあらゆる箇所で言いたくなる名作だと思う。ピーター・オトゥールは撮影当時36歳ながら、21歳から85歳までを演じている。見事!!走る姿も素敵(有名ですね♪)

先述のジョン・モルダー=ブラウン君も後半、生徒役で出演していて”きゃぁ〜☆”となる私。その他、美少年たち(ノンクレジット多数ゆえお名前が分からないけれど)が私の脳裏に刻まれている。ピーター・オトゥールの歌声が聴けるのも嬉しい、ペトゥラ・クラークの歌声が素晴らしいのは当然!そして、ボーイソプラノの合唱曲も出てくる場面はかなり胸高鳴る♪お衣装デザインも美麗(ジュリー・ハリス)、歌詞も素晴らしい(レスリー・ブリッカス)、撮影はオズワルド・モリス(「オリバー!」の)...と英米強力なスタッフ、そして役者方、パブリック・スクールの少年たち(制服も美しい!)や校舎、校庭。英国の緑の美しさも見逃せないもの。贔屓目いっぱいかもしれないけれど、今このような映画は知らない。時代感、時代の空気や雰囲気は再現不可能な貴重なものなのだと、こうして古い映画を観ては心がほっこりし、豊かな気持ちになれる気がして幸せ☆