『居酒屋』 ルネ・クレマン監督 (1956年) 原作:エミール・ゾラ


ジェルヴェーズと息子たち♪

居酒屋:GERVAISE
1956年・フランス映画
監督:ルネ・クレマン 原作:エミール・ゾラ 撮影:ロベール・ジュイヤール 音楽:ジョルジュ・オーリック 出演:マリア・シェル、フランソワ・ペリエ、アルマン・メストラル、ジャック・アルダン、シュジー・ドレール、ジャニー・オルト、シャンタル・ゴッジ

久しぶりにBSにて遭遇。マリア・シェルを初めて知った映画はこの『居酒屋』が先か『女の一生』が先だったのか...よく覚えていないけれど似た時期に知り得たことを幸運に思う。そして、ルキノ・ヴィスコンティの『白夜』、デヴィッド・ボウイのお母様役の『ジャスト・ア・ジゴロ』はシドニーロームアラン・ドロンとの共演作『個人生活』で知った女優さま)、キム・ノヴァクマレーネ・ディートリッヒとの共演作。弟のマクシミリアン・シェルと共演した『オデッサ・ファイル』、ドストエフスキーの『カラマゾフの兄弟』、ロミー・シュナイダーミシェル・ピコリ、マチュー・カリエール、ヘルムート・グリーム達との『サン・スーシの女』、超豪華オールキャストでの『さすらいの航海』...マリア・シェルは年老いても脇役でも、ヨーロッパ映画でもハリウッド映画でも、マリア・シェルのシーンを刻んだお方だと思っている(贔屓目いっぱいかもしれないけれど)。美しく演技力もある本物のアクトレス。美しい容姿だけではなく、あのブルー・グリーンな瞳や表情豊かな演技に魅了されてきたように思う。それにしても、お若い頃の主演作、代表作にはなんと耐える健気な女性を数多く演じているのだろう!どんな境遇でも哀しみと希望をも忘れないあの笑顔は美しすぎる。ところが、『居酒屋』のラストは目も虚ろな酒浸りのジェルヴェーズの姿が残る。ここでは、もう希望はない。でも、少し大きくなった娘ナナはリボンを首元に付け颯爽と男の子たちのもとに駆けてゆく...『娼婦ナナ』へと続くことを示唆している。この少女は『シベールの日曜日』の名子役!パトリシア・ゴッジの実の姉のシャンタル・ゴッジ♪

エミール・ゾラの原作の映画化。監督はルネ・クレマン。徹底したリアリズムというのだろうか、細かい部分まで当時の労働者階級の人々の生活を表現しているのだと思う。マリア・シェルはどう考えてもとんでもなく素晴らしい!映画の中で食卓でのお食事の場面などが好きなようで、よく観た後、お腹が空いた気がして同じものを食べたくなったりする(食いしん坊♪)。ここでも、晩餐会のシーンは秀逸で、がちょうのお肉を食べるシーンがあるのだけれど、それぞれ食べ方が違う。滅多に食べることのできないご馳走なのだ。晩餐会の主役であるジェルヴェーズは笑顔でそのお肉を貪るように食べる...生き生きと伝わるものがある。ナイフとフォークもテーブルにはあるけれど使わない。自然主義文学の原作を見事に映像化した名作。いつまでも心に残る映画なのです。

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