『青きドナウ』 スティーヴ・プレヴィン監督 (1962年)

cinema-chouchou2008-07-04


青きドナウ/BORN TO SING
1962年・アメリカ映画
監督:スティーヴ・プレヴィン 原作:R・A・ステムレ 脚本:ヴァーノン・ハリス 撮影:クルト・グリゴライト 音楽:ハインツ・シュライター 出演:ヴィンセント・ウィンター、ショーン・スカリー、ピーター・ウェック、ハンス・ホルト、フリッツ・エケハルト、デニス・ギルモア、ウィーン少年合唱団

”少女”同様に私は”少年”という美しき瞬間を愛してやまない。少年合唱団ものというと先述の『野ばら』(1957年)が先だけれど、1962年にウォルト・ディズニー製作のアメリカ映画『青きドナウ』も永遠☆『野ばら』の少年はトーニ君だったけれど、こちらのトニー少年役のヴィンセント・ウィンターも愛らしい少年を演じていた。しかし、しかし、私はピーター少年役のショーン・スカリーに哀切な想いを抱き続けている。

少年少女共に第二次性徴期というある時期がやって来る。そこで私は大きな戸惑いを得て今もなにやら引き摺っているのだろう...。この時期はとても個人差があり体型の変化も様々だし、その時の気持ちも其々の想いがあるだろう。私は女性なので体験として知らないことだけれど、男の子の場合の変声期という通過儀礼のような刻を、傍目で何となく痛々しく傍観してきた。最初は小学生の高学年頃だっただろうか...クラスメイトの男の子の声が出なくなって苦しそうだった。そして、そのような時期が来るのだと授業で知識として教わる。そして、弟や甥たちと一緒に過ごしてきた中で、彼らの少女とも少年とも区別のつかぬ声が失われてゆく日々を寂しく見つめながら心に留めてきた。多分、本人たちよりも私が最もそのことに拘りを持っていると想う。愛らしい声が変ってゆくのを悲しく想う...と仲良しの甥にお話したことがある。すると、わざと高い声を出して笑わせてくれた。

トニー少年もピーター少年も1947年生まれなので、撮影当時14歳頃。この映画の舞台は500年以上の歴史を持つウィーン少年合唱団。彼らは寄宿学校で過ごす。10歳から14歳位でとても入学するのも難関。トニー少年は無事入学することができた。以前ウィーンの駅で会ったピーター少年は既に成績も優秀で歌も最も上手な少年。トニー君も生活に次第に慣れ歌も上達してゆく。そんな中、ピーター君の声が少し重くなり始め、ソプラノからアルトへ。そして、先生はトニー君にそのソプラノを教え始める。悔しい思いのピーター君。ちょっとしたライバル意識も抱いたりするけれど、彼らの友情はさらなるものへ!ピーター君にとっては最後の世界音楽旅行が近づいていた。そして、一人で練習している時に遂にピーター君の声が出なくなってしまうのだった。この変声期を迎えた少年の気持ちを想うとたまらない。また、仲間の少年たちの優しい友を想う気持ちから、何とか一緒に音楽旅行に行けるようにとする。そんな姿に心打たれた先生は、ヘラー先生(ピーター・ウェック)の副指揮者としてピーター少年は同行することが許されたのだった。美しい友情に感涙!そして、やはり儚き刻を想うのでした☆