イギリスから来た男

イギリスから来た男:THE LIMEY
1999年 アメリカ映画 スティーヴン・ソダーバーグ監督

出演:テレンス・スタンプピーター・フォンダルイス・ガスマンレスリー・アン・ウォーレン、ジョー・ダレッサンドロ

ヘルムート・バーガーやマチュー・カリエールは違うけれど、私の好きな男優様は英国人に多いと先日も思った。この「イギリスから来た男」の監督さんを知ったのはジェレミー・アイアンズが主演というので観た「カフカ/迷宮の悪夢」。御贔屓の監督さんではないけれどチョコチョコ観ている。でも、この作品は観なければ!という使命感の様なものを感じながらというもの。

監督云々ではない。全てはテレンス・スタンプが主役だから!ミーハーな私は美麗な俳優様が大好き。このテレンス・スタンプは決して麗人系ではない。では、何故?こんなに好きかと言うと詳しくまだ分からないけれど、あの眼に惹き付けられるのは確か。初めて知ったのは「コレクター」、たまらなく大好きな映画だ。捕らえられたいと思うもの(ちょっと危ない発言かも...)。

「言え、言うんだ、ジェニーのことを。」と声だけのオープニング。そして、ザ・フーの音楽と共に現れるテレンス・スタンプ!このオープニングを繰り返し観てしまう。格好良すぎ!お話はあまりどうでもいいかな?っていうと変だけれど、この60年代から今も現役のある種、英国俳優の伝説というかイコンの様な存在のお方。きっと、監督さんはファンなのだと思う。そして、流れる60年代の楽曲達、時間軸を効果的に巧く描き(最初は解りにくかったけれど)、68年の「夜空に星のあるように」のシーンもフラッシュバックして表れるのだ。これは、テレンス・スタンプの為に作った様な作品。なので、全編を通して渋過ぎる!もっと観たかった。

この時、スタンプは60歳。頭髪は真っ白だけれど、あの眼光と時折見せる哀愁感...どこか屈折しているあの感じ。英国の音楽が好きなのも何か関係していると思えてならない屈折感が好き。娘の復讐劇なのだけれど、何故殺されたのか?その訳が知りたかった。頭の中では何度もその張本人を撃ち殺す妄想を抱くけれど、最後は経緯を聞き命を奪わなかった。それは、幾度もフィードバックする6歳の時の娘の顔と言葉...さり気なく素敵な表情をするのだ、またここで。寡黙でクールなスタンプとは対称的に、実に情けないその敵にはピーター・フォンダ。これまた、60年代の米国のヒーロー。でも、私はピーター・フォンダはあまり興味が無いので、ここでもポイントは上がらないままだった(ピーター・フォンダのファンの方に叱られるかも...)。

個人的にもう一つ嬉しかったのは、ちょっとした役だけれどジョー・ダレッサンドロが出ていた事。アンディ・ウォーホルやセルジュ・ゲンスブールの映画で主役だったお方。どうにか素敵に年老いていらした。お若い頃のお顔とサラリとした髪は好きだったりする。

それにしても、やっぱり、私は「眼」を重視してしまう様だ。視線の鋭さや眼の動きにとても反応し易い。そして、そんな方に好きな方がとても多い。と再確認出来て嬉しい。何だかとても長くなってしまった。