スイミング・プール

スイミング・プール:SWIMMING POOL
2003年 フランス/イギリス合作映画 フランソワ・オゾン監督

出演:シャーロット・ランプリングリュディヴィーヌ・サニエチャールズ・ダンスジャン=マリー・ラムール

まだ暗い早朝から複雑な面持ちで画面に向かう。大好きなお方の作品は何かゆっくりと観たいので静かな時間を選ぶ。いつもそう。小学6年生の時の「愛の嵐」の衝撃は今も私に付き纏って下さる。絶対的な好きを越えた存在の様なアーティストが数人居るのだけれど、シャーロット・ランプリングとはそんなお一人。偶に「あれまぁ〜?」という作品にも出演されたりもするけれど、それでも観てしまう。

フランソワ・オゾン監督の「まぼろし」で久しぶりに公にも「名作」と讃えられる作品が生まれた。ランプリング健在なり!と。とても嬉しい!そして、続いてオゾン監督作品の「スイミング・プール」。やっぱり、良かった。「まぼろし」のお話の方が好きなのだけれど、「スイミング・プール」はより現実と妄想が交錯して観る者に様々な解釈をさせてくれる作品となっている。オゾン監督は緻密な計算を細部まで意図的にしている。英国人であるランプリング様のここでの役柄はロンドンからフランスの田舎町にやって来るサスペンス作家。なので、英語とフランス語での会話構成。「まぼろし」の時よりお痩せになっていた。神経質で気難しい独身の中年女性作家のサラ・モートン。その対称的な存在の女性ジュリー役はリュディヴィーヌ・サニエ

30歳を軽く越える年齢差のこの女性ふたり。「8人の女たち」から随分大人っぽくなったサニエの大胆な裸体にとても若さを感じた。私の好きな肢体とはやや異なるけれど綺麗だった。しかし!ラスト間近で予想もしていなかった(予備知識を敢えて持たずに観たもので)この撮影時、56歳か57歳であったランプリング様の裸体にクラクラした。先月、久しぶりに「評決」(ポール・ニューマンと共演)を観ていたので、この年月の経過をお顔や指の皺などは隠せない。でも、何も変わらない私にとっての「シャーロット・ランプリング」に驚愕のあまり泣いてしまった...その美しさに、私の信じてきた何かを見たかの様に。

最後にジュリアという若い女性が登場する...どこまでがサラ・モートンのお話なのか?と考えてしまうけれど、そこもオゾン監督の「色々とご自由に想像して楽しんで下さいね。」という様な意図だと思え、「やられたな。」って。

ランプリング様はこの作品でヨーロッパ映画祭の女優賞を受賞された。当然だろう!アカデミー賞に登場する女優様には表現出来ない、比類無き名女優に間違いない。オスカー俳優に好きな方々も多い。でも、賞に恵まれない名優も何と多く居られる事だろう!...そんな事を考えたりもしていた。