『エコール』 ルシール・アザリロヴィック監督 原作:フランク・ヴェデキント『ミネハハ』 (2004年)

cinema-chouchou2006-12-08

エコール/INNOCENCE 
2004年 ベルギー・フランス合作映画

監督:ルシール・アザリロヴィック
製作:パトリック・ソベルマン
原作:フランク・ヴェデキント『ミネハハ』
脚本:ルシール・アザリロヴィック
撮影:ブノワ・デビエ
音楽:レオシュ・ヤナーチェク、セルゲイ・プロコヴュー、ピエトロ・ガリリチャード・クー

出演:ベランジェール・オーブルージュ、ゾエ・オークレール、リア・ブライダロリ、マリオン・コティヤール、エレーヌ・ドゥ・フジュロール

◆あらすじ◆
深い森の中、高い塀で外界と遮断された学校(エコール)。そこには6歳から12歳までの少女達と、年老いた使用人二人と教師二人。全て女性ばかりで、ダンスと生物を学んでいる”秘密の学校”。 毎年、棺で眠ったまま新しい生徒が運ばれてきて、最年長者は去っていく。髪には学年を区別する七色のおリボン。制服は清楚な白。純粋無垢なままどこからか運ばれてきて、またどこかへ行くのか。それは謎のまま・・・。


★やっと関西上映となり、でも期間が短そうなのでドキドキしながら観てきた。劇場で観る映画の内容はあまり予備知識無しが好き。なので、少しのシーンの映像とキャッチコピーなどを知っていただけ。でも、それだけで充分過ぎるものだと直感していた。そして、声を出しそうに(出したかも?)なる位感激だった。冒頭からもう”きゃぁ〜♪(ニヤニヤ)”していたのを知っている。お隣には知らない落ち着いた感じの大人の女性が静かに鑑賞されていた。なので、少し気を遣いながらも心の中は幸福感に満ち溢れていくのだった。ラストは極まったのか、綻ぶ自分の顔、溢れだしそうな涙。これが私の好きな世界の一つであるのだろう...と今思う。昨日(映画日記)「映画大好き!cinema chouchou」に勢いでメモ書きしておいた。支離滅裂ながらその時の気持ちを綴っておこうと思ったので。私は少年映画もとても好き。少年も少女も束の間の時。なので儚く美しい。子供の脚(足)って個人差はあれど、その時だけのもの。少女マンガの世界だと特にそれらの繊細な描写がされていると思う。『エコール』も、この謎の学校の一年間を少女たちを中心に幻想的に繊細で優しい眼差しで描いている。

フランスのロリータ映画巨匠となるであろう、この最強のカップル(ルシール・アザリロヴィック監督とギャスパー・ノエ監督)の作品は日本公開ものは必ず観ていると気づく。世代的にも近いので親近感を覚えるのだろうか。でも、女性なのでルシール・アザリロヴィック監督のファンタジックな感性の方がより好きだけれど。先に東京で観た映画友達は酷評だった。彼女の意見を聞くのもとても好き。私が手放しに喜んでいるものをグサリと突き刺すのだ。嘗てはショボンとしたものだけれど、今は彼女の意見は新鮮で面白い。そして、何故?私は大好きで彼女は気分が悪くなるのか?と考える。すると、またそこから色々と考えることが出来る。広がり深まる。少年も少女もある時がくれば体や声が変わってしまう。そして、大人になる準備を体と頭でしながら外の世界で葛藤しながらも生きていく。でも、私は心が追いつかない、拒絶する気持ちが強かった(これはかなり意識的にしていた。絶対に嫌!と)。今も自分では不安定・・・なので、こうして綴っているのだろう。兎に角、素晴らしい作品が観れたこと。それだけで幸せ。蘊蓄より心が喜んでいる、この気分が幸福で仕方がない。

(追記)
ルシール・アザリロヴィック監督の新作(初の長編作)とあり、関東で上映開始頃から待ち遠しくドキドキしていた。やっと昨日(12/6)劇場で観る事が出来て良かった。ルシール・アザリロヴィック監督の公私に渡るパートナーはかの、ビザール映画の鬼才!ギャスパー・ノエ。このお二人は互いに監督、製作などを協力しあって来ている。『エコール』の最後には”ギャスパーに捧ぐ”と画面に記されていて嬉しかった。ノエ監督と言えば、『カルネ』から10年経つけれど、あの映画は驚いたものだ。ルシール・アザリロヴィック監督は前作の『MIMI』も好きな作品だった。あの少女は12歳だったけれど、今作では6歳から12歳までの少女たちが主役。そして、二人の美しい女性の先生にはマリオン・コティヤールとエレーヌ・ドゥ・フジュロール!ハリウッド作品にも進出している女優さま。このお二人の出ている映画にも好きなものは他にもあるけれど、今日は『エコール』。

基本的に寄宿舎ものは大好き!でも、この学校は不思議で新入生は棺に入れられてやって来る。卒業してゆく少女は地下の鉄道から外の世界へ。学校は森の中。使用人の老婆が二人、ダンスと生物学の先生が二人、そして校長先生ともうお一人、みんな女性ばかり。私は少女映画は幅広く好むので始終気分が良かった。それぞれの少女たち、みんな可愛くて危うくて儚い。馴染めずボートで逃亡しようとして死んでしまうローラちゃん、新入生のイリスちゃんがやって来たので1つ年上になってちょっと意地悪するセルマちゃん(この少女!個人的にプチっとした愛らしいお顔で好み♪)、高い壁をよじ登り脱出に成功するアリスちゃん、そして、最も美しい脚とお鼻の感じがキュートな年長のビアンカちゃん、その後を引き継ぐナディアちゃん...すっかり役名を覚えてしまった。

まだ、公開中なのであまり内容は書かない方が良いのかぁ?私の感想は、冒頭の音から棺、白いミニスカートの下の2本の脚(白いソックスと靴)が順番に登場する。もう!この始まり方からして同類項。何故、この監督の作品が好きかと言えばこういうことだろう。『サスペリア』と同じ原作『ミネハハ』だと知り、なるほどぉ〜!って思う(違った描き方だけれど)。原題は『イノセンス』。そして、好きな映画が次々と連想される。最後は外の世界に出たビアンカちゃんが男子と噴水のしぶきの中、笑顔で眩いばかりのかわいらしさ!この瞬間、幸福だった。綻ぶ顔と溢れそうな涙で私は幸せだった。何故かは分からないけれど。

少女と言っても幅がある。幼女、童女から思春期手前辺りの子供時代。少年にも少年だけの瞬間があるように少女にもあり、それらはあまりにも瞬く間の時。森や水、光や蝶。生態の変化を森の生き物たちと共に幼い少女たちの外の世界(大人になっていく)への準備段階を、この森の中で過ごす様子たち。それぞれの危うい気持ちは女性監督なので繊細に優しくそれらを美しく描いていた。古い大きな時計、これもポイントというか私が好きなもの。カチカチと時を刻む音も、ノイズの様な底で蠢く水の音、弾ける水の音...全て好き。音楽も良かったし、映像もとっても綺麗だった。このお二人の監督作品中、もっとも受け入れられる可能性の高い作品に思えた。でも、好き嫌いは分かれる作風だけれど。幻想的でゴシック感覚もありながらも光に向かうファンタジックな世界。ジトジトしていない。ジトジトした世界を描いてもいるのだけれど...そんな気がした。DVDが出ると買うのでまた何度でも観るのだと思う。ビアンカちゃんが学校を去って、また次の新入生が棺で運ばれて来た。また、少女たちはおりボンを交換するのだ。7色の年齢別に決められた色。こういうのもとてもツボ!でも、あの学校に一生仕えるのだろうか...と先生と使用人の女性たちの存在も気になったり。また、もう少し『クララの森・少女愛惜』で追記。今は頭の中が「好き!」「可愛い〜」「きゃぁ〜♪」「しあわせ〜」という気分でいっぱい。でも、映画友達の中にこういう映画が大嫌い!なお友達も居るのも知っている。色んな映画があり、人それぞれの感じ方がある。嫌い!という意見を聞くのも嫌じゃない。新鮮に感じることもあるから。私は、身近に感じられる気がするのかな?こういう映画は。なので、逆に全く知らない世界を描いた映画だって興味はいっぱい。どうしても映画は最良の娯楽★

エコール [DVD] ミネハハ Ecole(エコール)―Les poup´ees d’Hizuki dans l’Ecole