『初恋 ファースト・ラブ』 マクシミリアン・シェル監督 原作:ツルゲーネフ (1970年)


初恋〜FIRST LOVE〜 西ドイツ/アメリカ合作映画 1970年
監督:マクシミリアン・シェル 出演:ドミニク・サンダ、ジョン・モルダー=ブラウン、ヴァレンティナ・コルテーゼ、マクシミリアン・シェル

「あなたの好きな俳優さんは?」と尋ねられたなら。男優さんの名前は5,6人はスラスラと出て来ますが、女優さんとなると何十人もの名を次々と並べることになる私です。その時、いつも最初に挙げる人は決まっています。2番目も。その私の一番大好きな女優さんはドミニク・サンダ!日本未公開ものも沢山あるのですが、彼女の名を見つけたものはかなり観ています。どれも好きなのですが、19才の時の主演第3作目となる1970年の「初恋」は中でもとっても大好きな作品です。

原作はロシアの文豪ツルゲーネフ。16歳の少年が別荘で過ごした数週間。その間に年上の女性に初恋し、その愛した人が父親の愛人であると知った少年のナイーブに揺れ動く心理を見事に描いたものです。その年上の女性:ジナイダー役がドミニク・サンダ。このジナイダー役のイメージはドミニク・サンダにピッタリです。少年:アレキサンダー(原作ではヴラジーミル)に対して、異常な程の寵愛ぶりを見せるかと思えば、ある時はサディスティックにいじめるという、得体の知れない神秘的な存在。当時のロシアの旧体制崩壊という時代背景と共に、この没落貴族の令嬢の気高き誇りと現実との狭間でバランスを崩す精神状態を想像するととてつもない想いがします。そんなジナイダー役を見事に演じてしまうサンダ。美しい映像の中でサンダの身に纏っている長いドレスも実に素敵です。この美しい映像を撮影しているのはスヴェン・ニクヴィストベルイマン作品でも有名)で、ハンガリーを中心にヨーロッパ各地でロケを行ったもの。この耽美的でかつロマンティックで詩的な風景達と共に、好感の持てる爽やかなマスクの英国少年俳優のジョン・モルダー=ブラウンと気高き妖精!ドミニク・サンダのふたりのキャスティングは見事だと思います。当時19歳とは思えないドミニク・サンダですが、私はこの方の持つ(どの作品にも表れる)孤高の冷たい眼差しが死ぬ程大好きなのです。その視線はどこか危うくて何もかも見抜いている様でもあり、途方も無い彼方に向けられている様でもあります。美少女、ロリィタも大好きですが、この方だけはどこにも属さない存在。私にとってのまだ未知の妖精の国、あるいは150年〜200年前から生き続けている架空の夢物語りのヒロイン...。私の心の中にいつもしまってある一際気高き輝きを放ち続けている宝石の様な大切な存在です。ドミニク・サンダを想うだけで緊張してしまう程に大好きな極限の美!

私のミューズであるお方。普段はドミニク様とお呼びさせて頂いておりますが、上の文章では様を付けずに書かせて頂きました。随分前に書いたものですが少し編集致しました。初DVD化を祝して♪