『小さな泥棒』 クロード・ミレール監督 (1988年)

小さな泥棒 [DVD]
小さな泥棒;LA PETITE VOLEUSE
 1988年・フランス映画
監督:クロード・ミレール 出演:シャルロット・ゲンズブール、シモン・ド・ラ・ブロス、ディディエ・ブザス

シャルロット大好き!なので褒め称えるばかりの私。クロード・ミレール監督は『なまいきシャルロット』に続いてこの『小さな泥棒』をシャルロット主演で作ってくださった。16歳の少女ジャニーヌを演じるシャルロットはまだあどけなさは残るけれど大人への手前の不安定な時期を見事に演じている。それも社会に適合できない少女として。この映画は故フランソワ・トリュフォーの遺稿作品で、「イングマール・ベルイマンの『不良少女モニカ』風の作品。ある非行少女の女らしさ、あだっぽさの芽生えを描く”少女版『大人は判ってくれない』。”」と語っている。1950年代の第二次世界大戦後のフランスが舞台。トリュフォー監督の体験が色濃く投影されているように思う。流れる数々の古いシャンソンや映画館...。『なまいきシャルロット』の可愛さから少し成長した少女シャルロット、この時期のシャルロットが実に可愛くて可愛くて♪元々内向的な性格であのはにかんだ感じ。笑うとセルジュにそっくり!だし嬉しくてたまらない。

ジャニーヌは孤児で盗癖のある少女。引き取られた叔父夫婦からも見放され家政婦として住み込む。その頃、年上(中年)の男性ミシェルに恋をし、次に、少年ラウルとの恋。盗癖は直らず遂には救護院に入れられる。そして、そこで知り合った少女モリセットと一緒に逃亡する。このような流れの中で最後までジャニーヌは社会からズレている少女。タイピスト学校の女性たちとジャニーヌの違いを彼女のファッションなども象徴的に描かれていて、何か野暮ったい。ちょっと大人びてハイヒールを履いてみるけれどしっくりこない。この位の歳の女の子なら微妙なところ。ジャニーヌはラウルの子供を宿していたけれど、そのラウルはインドシナ戦争の兵士となっていた。ジャニーヌは一人で生きていく決意をするのだった...。アントワーヌ少年(ジャン=ピエール・レオが演じた)やトリュフォーの青春時代をどうしてもこのジャニーヌとラウルに見てしまう。トリュフォーの遺稿なのだからそうなのだろう。戦争の痛手はあまりにも大きくいつまでも心に焼きつくものだと、様々な映画や手記などから教えられる。その当時子供だった世代の人々だって、そんな社会や大人に反発心や反抗心を持っただろう。そういう時代が事実として歴史にあること、そんなことを思うとまた、他の映画たちが次々と思い浮かんでは感傷的になったりする。

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