『ショー・ミー・ラヴ』 ルーカス・ムーディソン監督 (1998年)

ショー・ミー・ラヴ [DVD]
ショー・ミー・ラヴ:SHOW ME LOVE

監督:ルーカス・ムーディソン 出演:アレクサンドラ・ダールストレム、レベッカ・リリエベリ、エリカ・カールソン、マティアス・ルスト
(1998年・スウェーデン映画)

14歳のエリン(アレクサンドラ・ダールストレム、撮影当時14歳)は美人で可愛いのでデートのお相手にはまったく困らない少女。でも、そんな毎日になにか面白くない感情を持ちながら過ごしている。違う町からやって来たもうすぐ16歳になるアグネス(レベッカ・リリエベリ、撮影当時17歳)は地味でお友達がなかなか作れないタイプの女の子。彼女の家庭は厳しく、作家になる夢を抱いているけれど、環境に馴染めず友人もいない毎日に何か不満を抱きながらも過ごしている。大抵、こういう気持ちなのだろうなぁ...思春期の少年少女たちって。私は意外とついこの間のことのように思い出したり、懐かしい想い出たちが巡たっりしながら観ていた。この映画は、本国スウェーデンで大ヒットを記録し、主演の少女お二人は揃ってスウェーデンアカデミー賞のような賞を受賞されたという。



女の子同士の恋、アグネスがレズビアンでエリンの事が好き。エリンは男の子と付き合っていたけれど、ヴィクトリアという学友の少女から(彼女はアグネスのノートに”エリンが好き”と書かれているのを見てしまう)アグネスの気持ちを知り、そこから終盤急速な動きになる。エリンはそのことが本当なのか確かめたくなった。夜、眠れずアグネスのお部屋の窓に石をぶつける。嫌われてると思ってるアグネス。エリンの心の中のこれまでもやもやとしていた感情が吹っ切れたかのように”私も好きだよ”という。”そのこと、本当?嘘なら殺すわよ!”...こういう会話も好き。そして、はっきり意思を聞きたくて入った場所は女子トイレの中。次を待つ少女が待ちきれず、だんだんと学友たちが集まってくる。エリンは他の男子と中に入ってると思われていたのだ。どうする?...しかし、ド〜ン!と二人は手をつないで堂々と皆の前に出てゆき、エリンは”私の新しい彼女よ。”とにこやかな笑顔と共に二人は颯爽と歩いてゆくのだった♪



なんと!清々しい青春映画だろう!!アグネスが学友たちから気持ち悪がられたりして、いつも一人の場面とか切ないシーンもあるけれど、彼女たちの”私は私よ”という堂々たる姿は潔く強く、未来の光を感じさせるもの。全くジメジメした感じがない。姉や弟、両親、友人たちとの関係、彼らの反応もそれぞれ。ハリウッドの青春映画だと、この感触はなかなか出せないように思う。愛らしくて強い少女たちに拍手!!なのだ。ただ、思うのはアグネスが”私は女の子が好き”だと自覚した時(今後はどうかは別として)の戸惑いや疎外感って言葉には表せないものなのだろうなぁ...と思う。でも、彼女はその自分を否定はしない。そこが気持ちよい。いいじゃないか!といつも思うから、女の子が女の子を、男の子が男の子を好きになっても♪こういう映画が大ヒットするスウェーデンは素敵なお国に思う。日本だと大ヒットにはまず、現状のところならないだろうから。