『野性の葦』 アンドレ・テシネ監督 (1994年)

cinema-chouchou2007-09-24


野性の葦/LES ROSEAUX SAUVAGES
  1994年・フランス映画
監督:アンドレ・テシネ 製作:アラン・サルド、ジョルジュ・ベナヨン 脚本:アンドレ・テシネ、ジル・トーラン、オリヴィエール・マサール 撮影:ジャンヌ・ラポワリー 出演:エロディ・ブシェーズ、ゲール・モレル、ステファーヌ・リドー、フレデリック・ゴルニー、ミシェールモレッティ、ジャック・ノロ、エリック・クライケンマイヤー、ナタリー・ヴィグネス

『樫の木と葦』 - ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ -

樫の木が葦に言った/自然は君に無情だ 君には小鳥も止まれず/僅かな風にも身をそよがせる 私は太陽の光を遮り嵐にも負けない/烈風も私にはそよ風だ 私の葉陰に生えていれば気楽だったろうに 君は野ざらしの川辺に生まれついた/気の毒な運命だ

葦は答えた ごもっともだが心配は無用だ 君は風を恐れるが私は平気だ 君は風に立ち向かい 私は風に舞う/結果はどうか

その時 彼方から強烈な北風が/吹き寄せてきた 樫は耐え葦は舞う 風は勢いを強めついに巨大な樫の木を/根こそぎ倒した

劇中、フランソワが教室で朗読するもの。これから大人になる不安と葛藤、挫折や試練、思春期の少年少女たちの誰もが抱くもの、そして体験し成長してゆくのだ。それをこの寓話は優しく謳歌しているようでもある。そして、フランスの少年少女たちは日本や他の国の同世代の人達よりも大人になる覚悟を教育される。なので、まだ若い大人として社会に飛び込むようなもの。そこで切磋琢磨する。性や社会、家族から離れ自立し精神的にも逞しくなる...このような点はお国柄で色々だろう。でも、以前からフランス人は(イメージなので全ての方ではない)”早く大人になる”、”精神的に成熟している”と感じることが多いのは色んな映画を観ていても思うこと。まだ混雑した状態なのでまた整理してもう少し上手く綴れたなら...と思う。

エロディ・ブシェーズはシャルロット・ゲンズブールロマーヌ・ボーランジェ等と同じ位、現在30代のフランス女優さまの中でもお気に入りのお方。映画デビューは16歳の折の、セルジュ・ゲンスブール監督(遺作)のナターシャ役♪公開時の劇場で観たあの不可思議な悲哀を帯びたスタン(クロード・ベリ!)とダーク・ブラウンの長い髪の少女は衝撃だった。流石のセルジュ!審美眼は衰え知らずで”最期のB”として映画デビューさせたのだから!セルジュもちょこっと登場するし、主題曲が最高!に好き...と大満足でパンフやポスターも買った。エロディ・ブシェーズはその後、あれよあれよという間にすっかり大人っぽくなり、各女優賞も受賞の今後もまだまだ活躍が楽しみなお方。日本公開作で10代の頃のものはこの「スタン・ザ・フラッシャー」のみ。でも、アンドレ・テシネ監督の「野性の葦」、ディディエ・オードパン監督(嘗ての愛らしい少年は最近は監督・製作として活躍)の「いちばん美しい年令(とし)」共に1994年作品で好きな青春映画、それもフランス映画ならではの!特に好きなのは「野性の葦」の方で、エロディ・ブシェーズ扮するマイテと男友達3人による切なく美しい映画。テシネ監督の少年時代を舞台としたもの(好きなフランス映画の思春期を描いた作品の多くは、監督の体験が映画を通して描かれるものに思う!)。他の映画感想はまた☆

関連:エロディ・ブシェーズ:ELODIE BOUCHEZ : クララの森・少女愛惜

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