『ぼくは怖くない』 ガブリエレ・サルヴァトレス監督 原作:ニコロ・アンマニーティ (2003年)

cinema-chouchou2008-04-19


ぼくは怖くない/IO NON HO PAURA
  2003年・イタリア映画
監督:ガブリエレ・サルヴァトレス 原作:ニコロ・アンマニーティ 出演:ジュゼッペ・クリスティアーノ、マッティーア・ディ・ピエッロ、アイタナ・サンチェス=ギヨン、ディーノ・アッブレーシャ、ディエゴ・アバタントゥオーノ

ガブリエレ・サルヴァトレス監督の『ぼくは怖くない』の主人公のぼく。ミケーレ少年を演じるジュゼッペ・クリスティアーノ(1990年3月9日生まれ)は撮影当時12歳で、この作品で映画デビューしたとっても美しい黒い瞳とスラリとした長い脚を持つ少年。もう一人のフィリッポ少年はマッティーア・ディ・ピエッロ(1993年4月5日生まれ)で撮影当時9歳。劇中では同い年という設定。このフィリッポ少年はブロンドの髪でとっても華奢でお声まで女の子のように可愛い。この位のお歳の少年たちの愛らしさはたまらない!

この映画はミケーレ少年の視点から描かれている。子供同士の友情や好奇心がドキドキと最後まで私を惹きつけていた。舞台は1978年のイタリア。記録的な猛暑に見舞われた夏の日。僅か5軒の小さな村の少年少女たちと大人たち。麦畑に覆われた丘を彼らは自転車で遊び場へ向かう。少し遠くて行ってはいけない、あるいは入ってはいけないと言われる場所に子供の頃って興味を持つ。私にも不思議な想い出がある。小学生の低学年頃まで自宅から少し行った小川の丘があった。隣町のお友だちのお家に遊びに行く時にその小さな丘を通っていけば近いのだった。でも、母が”あそこを通ってはいけない”と言う。近所の皆同じ様に言われていたようだ。これは私の夢なのか実際に見たのか曖昧な不思議な思い出で、少し奇妙だけれど美しいもの。ある日、歩いてその小川の端から丘に登ってみた。するともう隣町なので。そんなに大きくはない木が一本、其処には何か木箱のようなものがくっ付いていた。白く長いドレス(シンプルなもの)のお姉さんがいた。私は霊感など全く無い者で幽霊とかを見た体験はない。なので、やはり...。どこのお姉さんか知らない方だったけれどお顔も白く美しかった。そんなお話を帰宅後、母にすると通ってはいけないと言われていたので少し叱られた。でも、そのお姉さんのお話をするとあたかも知っているかのようだったのだ。”だから、通ってはいけない”という感じだった。何故かは教えてくれない。そぉっとしておく場所なのだと言う。しかし、私はまたそのお姉さんに会いたいような気持ちもあり歩いてみた。でも、もうそれからは一度もお会いしてはいない。全然怖くもなくて優しそうで綺麗だった。この映画を観て思い出したこと。私は作り話はできないので、私の中で数少ない不思議な体験だと想う。でも、夢まぼろし...。

10歳のミケーレはお友だちと麦畑の向こうの廃墟で遊んでいた。そんな中、ミケーレは穴を見つけ中を覗いて見ると人が繋がれているのだった。布に包まって衰弱しているのは少年だった。最初は驚きと怖さのミケーレながら、どうしても気になるので翌日またその穴を訪れる。深い穴で10メートルはあったように想う。その少年はミケーレと同じ10歳のフィリッポだった。お水をあげたり中に入って食べ物を運ぶ内に少しずつふたりの会話がなされるようになる。この少年がどこの子かも分からない。繋がれた少年は両親が死んだように想っている。ある日、大人たちの会話を耳にするミケーレ。その少年を隠しているのは大人たちなのだ!ある目的のために。ミケーレはこのままではフィリッポが殺されてしまう!と勇気を奮い立て彼をあの穴から脱出させる決意をする。ろくに何も食べていないフィリッポは久しぶりに見る陽光や自然の景色に喜ぶけれど、衰弱しているので走れないし歩くのも限界がある。ミケーレは彼を負ぶさって助けてあげる。広い麦畑の中、ふたりは手を繋いで。結局そのことが大人たちに知られてフィリッポはまた違う場所に隠されるのだけれど、それでもミケーレはまた彼を助け出す。でも、意外な悲劇が待っていた...。このミケーレの黒い瞳がとても美しいので、台詞が無い場面でも彼の心が伝わるようなのだ。正義感と勇気。少年少女と言っても様々で、同じ体験をした時にこのミケーレのような行動をとる子もいれば、怖いから誰にも言わず見なかったことにしようとする子もいるだろう。それは、大きくなって大人の社会でも同じこと。面倒なことには首は突っ込まない方がいいと知らん振りを装うことは多分にあることだろうと想う。美しい映像と脚本の素晴らしさで一気に見終えたもの。とっても感動的であり少年期の私の好きな美しさをミケーレ少年に見た☆


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