『タイムズ・スクエア』 アラン・モイル監督 (1980年)

タイムズ・スクエア/TIMES SQUARE
  1980年・アメリカ映画
監督:アラン・モイル 脚本:ジェイコブ・ブラックマン 撮影:ジェームズ・A・コントナー 出演:トリニ・アルヴァラード、ロビン・ジョンソン、ティム・カリー、ピーター・コフィールド、エリザベス・ペーニャ、ハーバート・バーゴフ

タイムズ・スクエア』(1980年・アメリカ映画)を劇場で観た。1981年公開だったということから懐かしい思春期の頃を思い出す。既に洋楽に興味を抱き始めていた私。あまり音楽の趣味の合うクラスメイトはいなかったけれど、ポール・マッカートニーの大ファンの女の子と一度だけ同じクラスになった。私はジョン・レノンが好きだったので共通した会話が少しできて仲良くなった。多分、当時ポールはウィングスで活動していたのだと想う。私はデヴィッド・ボウイ様の存在を知り、それはそれは急速な勢いで音楽に恋していたのかも。馬鹿じゃないの...と想われるかもしれないけれど、私は現実の男子に興味を抱くことが出来ずにいた(男嫌い?と友人に言われたこともある。相方にもそう想われていたらしい)。でも、ボーイフレンドとして挨拶したりジョークを言ったりはしていた。この映画の主役の少女ニッキー(ロビン・ジョンソン)とパメラ(トリニ・アルヴァラード)は15歳位。ニッキーは音楽大好きな少年っぽい少女でミック・ジャガーに似ている。もう一人の少女パメラは政治家の父を持つ(母親はいない)娘ながら心は孤独でいた。そんな境遇の違う二人が精神病院で同室になることから友情が芽生えてゆく。

以前綴った『ガールズ』や『フォクシー・レディ』を観た頃。これらの思春期の少女たちの映画に、同世代的なシンパシーを抱いていたのかもしれない。そして、「ボウイ館」で最近お話させて頂いている中で、ストーンズとボウイの事等を考えていたらまざまざと蘇る事柄や風景たちで頭がいっぱい。想うままに。この頃、まだ『ジギー・スターダスト』のLPを聴くことは出来ず、音楽雑誌でちょっとした知識だけが増えてゆくなか、何かもどかしさを感じながら、でも夢をみていたような頃。ルー・リードの曲が聴きたくても廃盤だった。この『タイムズ・スクエア』で初めて聴いたのだ!!『ワイルドサイドを歩け』☆ボウイがプロデュースしたアルバムでバックヴォーカルでもお声が聴ける。あとロキシー・ミュージックの『セイム・オールド・シーン』は暫く耳に残っていたくらい印象的だった。後にプリテンダーズやキュアー、XTCパティ・スミスラモーンズゲイリー・ニューマンまで流れていたと知る。

何かと問題を起こしては精神病院に送られるニッキーは次はもう少年院という状態だった。お金持ちだけれど完璧主義者の父の下で、繊細な心を病んでいたパメラの気持ちは父には理解できず、娘は病気だとしか思えないのだった。そんなふたりの少女。ニッキーはパメラを誘拐して病室から脱走する。そこからはふたりのスリルと冒険がテンポ良く続く。もう一人の主役のようなディスクジョッキーのジョニー(あの『ロッキー・ホラー・ショー』のティム・カリー!)が彼女たちを応援してくれる。ニッキーは自作の曲を歌い、パンク・ファッションに身を包み、テレビを壊しながら歩く。気弱で優しいパメラも気恥ずかしさと楽しさの同居するなか衣装に身を包む。ふたりの絆は強くなってゆき”スリーズ・シスターズ(がらくた姉妹)”と名乗り、タイムズ・スクエアを夢見る。今を、瞬間を生きるようなエネルギーに溢れたニッキーに、パメラは少しずつズレを感じ始める。

前述のクラスメイトの少女が私に言ってくれた言葉を想い出し涙する。”ずっと親友でいてほしい”と。私は多分”うん”とか言っただろうけれど、その時のその言葉の重さを実感することはできなかったのだと想う。翌年クラスは変り進学校も違った。その後、私はというと図書館で閉館まで時間を過ごし、帰宅後の音楽を聴く時間のことで頭がいっぱいの日々。私はこうして、愚かにも大切な言葉を裏切ったように今想う。甘酸っぱい思い出。ニッキーがパメラに”私達の相手は音楽。ボーイフレンドなんかいらない。”と言う。女の子同士の友情の芽生えと深まり、そして時間と共にそれぞれの道へと進んでゆく...お別れしたくなくてもそういう年頃なのだろう☆

私は少女パメラ(トリニ・アルヴァラード)の笑顔が大好き!『ステラ』でのベット・ミドラーの娘役も好き。最初に観た時からどうもパメラに感情移入してはニッキーに憧れていた気もする。今綴っているとまた、連想ゲーム癖で1つ.2つと想い出の映画が浮かぶ♪

関連:『タイムズ・スクエア』 (アラン・モイル監督) : クララの森・少女愛惜

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