『ミナ』 マルティーヌ・デュゴウソン監督 (1993年)

cinema-chouchou2008-08-27


ミナ/MINA TANNENBAUM
1993年・フランス映画
監督・脚本:マルティーヌ・デュゴウソン 撮影:ドミニク・シャピュイ 音楽:ピーター・チェイス 出演:ロマーヌ・ボーランジェ、エルザ・ジルベルスタイン、ジャン=フィリップ・エコフェ、ニルス・タヴェルニエ、ステファン・スリマ

『ミナ』は、双子姉妹の映画からいくつかポォッポォッと連想された好きな作品の中のひとつ。双子ではないけれど、全く同じ日に同じ病院で生まれた少女ミナとエテルの儚く揺れ動く思春期から青春期という二度と帰らぬ刻と友情の物語。ロマーヌ・ボーランジェの『伴奏者』の後の主演作でもある。舞台は1970年代のモンマルトル。そこのベンチで出逢ったふたりの少女。ミナは近眼でメガネをかけているそんな自分の容姿が好きじゃない。エテルは少しぽっちゃりした体型を気にしている。傍から見るとそれは魅力と映ることも多いのだけれど、ちょっとしたコンプレックスって誰にでもあるのではないだろうか...特に、この少女たちの16歳という時期なら。私も極度の近眼で小学生からメガネをかけていた。でも、中学生頃からはメガネの似合わない自分の顔を鏡で見ると憂鬱になったりした。そして、次第に授業中のみとなり、よく見えてもいないのにそれ以外の時間はかけずに過ごしてきた。お陰でますます近眼となりよく転んだりしながら今に至る。赤毛であることも多少のコンプレックスでもあった...今はあまり気にしないけれど、きっと誰でもこんな気持ちを抱いたことはあるのだと想う。

ミナとエテルは最初は喧嘩もしたけれど、次第にお互い惹かれ合うものがあり仲良くなってゆく。そして、ミナは画家を目指して美術学校へ通い始め、エテルはジャーナリストを目指す中、初恋が訪れたり。でも、だんだん大人になる過程のふたりの絆が変わり始める。ミナは感情を内に秘めた頑固で情熱的な画家になる。エテルは現実的で社交的なジャーナリストとなってゆく。全く違う魅力のふたりの女の子の終わりを告げようとする夢多き儚い刻を、70年代のファッション、音楽(ミナはセルジュ・ゲンスブールの大ファン!)も鮮やかにマルティーヌ・デュゴウソン監督が女性監督ならではの感性で描いた胸がキュンとなる映画だった。下町のカフェでダリダの『18歳の彼』が流れるのも、シャンソンやフレンチポップス好きの私は嬉しい。モンマルトルというとダリダは想起されるお方なので。彼女たちの着ているお衣装は、監督とロマーヌがロンドンの古着屋さんで購入してきたものなのだそうだ。また、リタ・ヘイワースベティ・デイヴィスの映画のシーンが彼女たちの夢の世界の象徴のようにさり気なく織り込まれていたりもする。女の子の友情と儚く過ぎ行く刻を甘酸っぱく感傷的に想い続けてしまうので、やっぱり今でも好きな作品☆