『オスカーとルシンダ』 ジリアン・アームストロング監督 原作:ピーター・ケリー (1997年)

オスカーとルシンダ:OSCAR AND LUCINDA
1997年・オーストラリア映画
監督:ジリアン・アームストロング 出演:レイフ・ファインズケイト・ブランシェット、シアラン・ハインズ、トム・ウィルキンソンリチャード・ロクスバーグ

レイフ・ファインズはもうこの作品時には注目されていたけれど、ケイト・ブランシェットは『エリザベス』の前の作品なので、ブレイク直前。私はこのお二人共のファンなので、この共演が嬉しくて♪そして、美しい光景と切ないロマンス感覚。時は英国ヴィクトリア朝時代。

オックスフォード大学で学び、敬虔な牧師となったオスカー(レイフ・ファインズ)は伝道師としてオーストラリアに赴くのだけれど、その道中の船中でルシンダ(ケイト・ブランシェット)に出会う。彼女はオーストラリアで親の莫大な遺産を受けガラス工場を営んでいる女性。この二人、実はギャンブルが大好き同士。オスカーは止めよう止めようと誓うけれどギャンブルの魅力から離れられないで苦悩している。ルシンダは子供の頃に母親から涙ガラスをプレゼントされて以来、ガラスの美しさに魅せられている。しかし、大のギャンブル好き。とてもこの辺りが面白い。次第に二人は惹かれ合うのだけれど、お互いの気持ちを伝えられないでいる。愛し合っているのに、オスカーはルシンダが好きな男性は共同経営者だったハセット牧師(サイアラン・ハインズ)だと思い込んでいる。もう、この辺りのいじいじした感じの気弱なオスカーが大好き!レイフ・ファインズは作品によっては冷酷な役もあるけれど、こういう役が実はとても私の好みでハマリ役だと思っている。そして、このオスカーは水恐怖症なので船中でもおろおろしている。ところが、男オスカー!愛するルシンダの夢の設計からガラスの教会を作って、彼女の愛する(愛しているのはオスカーのことなのに!)ハセット牧師の赴任先のオーストラリアの奥地まで運ぶ決意をしその賭けをする。大変な作業なわけで、今の時代ではないので当時高価なガラスを破損無きように解体して運び、遂には組み立てられたガラスの教会が静かに筏にのってゆっくりと渡ってゆく・・・とってもキラキラして美しいシーン。

無事、届けられたのだけれど思わぬハプニング。その地で男性をいつも狙っている未亡人ミリアム(ジョゼフィーヌ・バーンズ)が、長旅で衰弱したオスカーの看病を口実に誘惑(完璧に穢された立場!)し、子沢山のミリアムはオスカーの子を宿す。愛しているルシンダへの気持ち、身を汚され、水辺の筏に浮かべたままの教会で神に懴悔する。ところが、ガラスに石が当たり壊れてしまう・・・重いので次第に沈んでいくガラスの教会、オスカーを閉じ込めたまま。彼の水死の訃報が届き駆けつけるルシンダの悲しみ。もう号泣な私。ルシンダはオスカーの子供を引き取り育てる。そんな昔話を子供にしてあげるシーンも美しい。そして、ナレーションを担当しているのがジェフリー・ラッシュオスカーとルシンダレイフ・ファインズケイト・ブランシェット。個人的にながら感じる香りが似ているようにも思う。なので、原作はブッカー賞受賞のピーター・ケリーのこの文芸作品の主人公に違和感もなく、オーストラリア映画ながら英国の香り漂う作品でとてもお気に入り♪

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