ケイト・ブッシュ:KATE BUSH/THE SENSUAL WORLD
「KATE BUSH/THE SENSUAL WORLD」
1989年
本来ならば最初に書くべきお方のような気がする。私自身「女性ヴォーカル」が好きだと確信したというか、きっかけとなった衝撃の出会いはケイト・ブッシュだったのだから。ラフに思うままに綴ろう今の気分で。此処に綴らせて頂くお方はとっても大好きなヴォーカリストばかりだということ。そして、イメージ的に画像とアルバムを載せているだけで、基本的にどの作品も好きなもの。
1989年のアルバム「センシュアル・ワールド」、これはアメリカでもヒットしたので世界的に注目を浴びた作品だったと思う。私のケイトのリアルタイムは『魔物語』(一等好きなケイト作品★)。12年ぶりの新作も包み込まれるような柔かさが伴い相変わらず素敵な世界観を維持されている。1977年のデビューからもう30年のキャリアなのに、もうすぐ49歳。まだまだお若いので次の作品も気長に待ちたい。私は「4AD」(特に90年代初頭辺りまでの)という英国のインディー・レーベルが大好きだった。そこからリリースされた「ブルガリアン・ヴォイス」という作品もとてもよく聴いていた。ケイトの「センシュアル・ワールド」には、ブルガリアン・ヴォイスの一員のアンカ・ラプキーナ率いるトリオ・ブルガルカが参加していて、その共演をとても嬉しく思ったものだった。初期からのサウンドからは狂気や混沌としたものは浄化されて、柔和な世界へと変化していったように感じた。それでも、あの天才的なヴォーカルは健在!音域が広く、そのお声をひとつの楽器の如く響かせることのできるお方。私の好きなヴォーカリストの多くは”表現者”的な方々が多いと指摘されたことがあり、自分でもそうなのだろうと思う。何故だかは分からないけれど。生理的にケイトの高音のお声が苦手なお方もおられるようで、強い個性と独自の世界観に満ちているので、好き嫌いの分かれるのも納得できる。私は初めて聴いた時から”好き!”と思った。それはもう直感的なものでしかない。そして、私の大好きな大切なものたちは大抵そんな直感によるもの。そして、次第に蘊蓄というか関連する事柄を知り得ることになる(忘れてしまうこともよくある)。
ケイトの本名は”キャサリン・ブッシュ”。デビュー曲の『嵐が丘(Wuthering Heights)』は映画の『嵐が丘』(ヒロイン名はキャサリン)からインスピレーションを受けて作られたものだそうだ。ケイトの年齢や作風から想像すると、ヒースクリフ役はローレンス・オリヴィエ版(最古の名作!)ではなく、ハマー・プロ版のティモシー・ダルトンが演じたものではないだろうかと思っている(間違っていたら教えて下さい〜♪)。そして、『嵐が丘』と言えばエミリー・ブロンテの原作の英国文学(これまた、大好き!!)なので、全てが連鎖しているこのミラクル・ワールドに歓喜する。”ブロンテ姉妹”に関する想いはまた「ヨーロッパの憂愁庭園」に綴る予定(私の頭と心の中の好きなものが混乱する程絡まり合うので、自分で整理するための作業のようなもの)。
洋楽はイギリスから、映画はフランスから。そんな幼少期の体験はとても全てが新鮮で衝撃的だった。国籍でどうのこうの、ジャンルでどうのこうのという意識は薄いつもりだけれど、広義な意味での英国趣味とフランス贔屓は今も続いているようなのだ。