『アリスの恋』 マーティン・スコセッシ監督 (1974年)

アリスの恋 特別版 アリスの恋
監督:マーティン・スコセッシ 出演:エレン・バースティンクリス・クリストファーソン、アルフレッド・ルッター、ジョディ・フォスターハーヴェイ・カイテル
(1974年・アメリカ映画)
マーティン・スコセッシ監督がエレン・バースティンを主役に描いた女性ドラマの秀作。エレン・バースティンは素晴らしい!今も。この頃はご本人もシングル・マザーで息子さんと愛犬との暮らしをされていたそうだ。なので、このアリス・グレアム役は私生活と重なる部分も大きい。19歳で結婚して息子トムがいる。ご主人が急な事故で他界。お葬式代でお金が底をついてしまい二人は故郷のモンタレイへ移ることにする。未亡人になってしまったアリスだけれど、何か二人には安堵感もあった。そういう父親だったのだ。1970年代のアメリカ。社会の中で自立して生きていく女性たち。そんな女性ドラマが多数あるけれど、この「アリスの恋」は代表作のひとつ。マーティン・スコセッシ監督にしては珍しい作風だけれど、こういうのも作って下さって嬉しい。アリスは未亡人とは言え、まだ32歳。歌手になる夢も捨ててはいない。でも、その日その日を生きていくためにはお金が必要。ツーソンの町のウェイトレスをしながら息子トムと喧嘩したりじゃれ合ったりして、泣いたり笑ったりして生きている。恋もする。でもその相手が悪い場合もある(ここではハーヴェイ・カイテルがサディスティックな妻のある男性としてちょっと出てくる)。息子のトムも母親に恋人ができると何か面白くない!でも、風変わりなちょっとおませで不良の少女オードリー(ジョディ・フォスター)と仲良くなる。デヴィッド(クリス・クリストファーソン)がアリスを気に入りふたりは仲良くなるけれど、トムは反抗する。恋もしたい、仕事もある、夢もある、でも息子はかけがえの無い存在。そんな葛藤から、アリスとトム親子は町を出て故郷に向かう決意をする。でも、デヴィッドから結婚を申し込まれるアリス。そして、実はトムもデヴィッドが嫌いではなかったので喜ぶ。二人は笑いながら町を歩く...その親子の姿が自然で素敵に思える。エレン・バースティンはとても生き生きとした感情豊かなアリスを演じている。この作品でオスカー受賞となった。私は12歳のジョディの登場するシーンは特に好き♪横分けのショートめのブロンドの髪と相変わらず冷めたあの感じで、少年ぽく可愛い(この後、同じくスコセッシ監督の『タクシードライバー』への出演と続く。ハーヴェイ・カイテルも一緒に)。トム役の眼鏡のひ弱な感じとソバカスが愛らしいアルフレッド・ルッター君はこの後、『がんばれ!ベアーズ』にも出演している。

アメリカの女性って逞しいイメージがずっと私の中にある。精神的な部分や雰囲気かな。今では日本でもシングル・マザーでしっかり生きている女性たちも多い。私は無理だなぁ...と思いながらもこういう女性たちの生き様から何かを得ている気もする。でも、以前『ヴァージン・スーサイズ』でも触れたのだけれど、この時代のアメリカを想う...。全ての女性が強く逞しく自立して生きていけるはずはない。どの国にだって色んな女性がいる。私ならどうしていただろう...とこの女性のエネルギーが爆発している活気に満ちた70年代のアメリカで。そんな風にふと思ったりしながらも、このアリスのチャーミングで自然体な魅力に引き込まれてしまう。脇役もいいし、派手さはないのだけれど心に残る作品のひとつ。



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