『モモ』 ヨハネス・シャーフ監督 原作:ミヒャエル・エンデ (1986年)


モモ/MOMO
1986年・西ドイツ/イタリア合作映画 
監督:ヨハネス・シャーフ 原作:ミヒャエル・エンデ 脚本:ヨハネス・シャーフ、ローズマリー・フェンデル、マルチェロ・コスチア 撮影:クサファー・シュヴァルツェンベルガー 音楽:アンジェロ・ブランデュアルディ 出演:ラドスト・ボーケル、ジョン・ヒューストン、ブルーノ・ストリ、レオポルド・トリエステ、マリオ・アドルフ、アーミン・ミューラー=スタール、ミヒャエル・エンデ

ネバーエンディング・ストーリー』に続くミヒャエル・エンデ原作の映画化『モモ』で、妖精モモを演じたラドスト・ボーケル。この瞳☆忘れられない!この作品でしか知らないのだけれど、クルクルと巻き毛の童話の中の主人公が、こうして映像と共に色褪せないでいることが嬉しい!ラドスト・ボーケルは1975年6月4日、東ドイツのバート・ラウゲンザルツァ生まれ。プロフィールには、素顔のラドストは真っすぐの黒髪で、成績優秀、友達と騒ぐこと、ミック・ジャガーデヴィッド・ボウイ等の音楽を聴くこと(嬉しいです♪)、映画を見ることが大好きな女の子と記されていた。このモモ役に2000人の中から選ばれた当時10~11歳位の少女。盗まれた時間を取り戻すために、時間泥棒(灰色の男たち)に挑むファンタジックな愛しき物語♪

子供の頃以上にこのお話が大好き!になってゆく。とても大切なこと、失いかけていたものを見失わないように...と想う。児童文学や童話の世界が子供のためだけのものではないという事を、日々痛感している。現実と幻想の曖昧さ、現在・過去・未来を往来する時間軸の揺らぎ等を考えると楽しい♪世界中の何処でも誰でも一日は24時間という時を生きている。”時間”とは瞬く間に過ぎ行くけれど、その速度や数字の経過や何をしていたかということよりも、その刻をどのように感じて生きているのだろう...と我が身を振り返る。生きるために人は必死。情報も溢れ色々なものが変化し進歩してゆくけれど、その速度に付いてゆけなくても良いのではないだろうか...と。心が付いてゆかないのなら意味はないように想う。私は田舎でもなく都会でもないような町で生まれ育った。初めて梅田の地下街を知った時、大げさな様だけれど眩暈がしそうだった、あの窒息感に似た感覚を覚えている。”なんて!早く歩く人達の街なのだろう”という感じだった。でも、同時にこれが都会であり、働く人達の姿なのかな...とも。私はせっかちなことが苦手。”のんびりまったりと”、一歩が大きくなくても速くなくてもいいのではと想う。猛スピードでお仕事をしている方や出来る方は凄いとも想うけれど、皆が時間に追い回されなくても...生活があるので安易には言えないけれど、お金よりも心の豊かさを優先したい。ミヒャエル・エンデ(この映画の冒頭にも出演されている)のお言葉をいつまでも胸に刻んで☆

《自作について》
『僕は、いつも自分が読みたいと思うようなものを書いてきた。多くの人がロマン主義は落日を迎えたと思っているが、現在こそ、世界を詩的に表現することが重要である。そうすることによって我々は生の内に多くの価値を見い出すことが出来るであろう。』

《モモ》について
『現在は「時は金なり」で、貴重な贈り物である「時間」が空費され「時間泥棒」が、はびこる時代である。そして、本来誰もが持っている多様な好奇心、知識欲、ファンタジーの追求が「時間の無駄だ」と決めつけられてしまう。「どこにもない家」とは豊富な想像力を持つ人達が素晴らしい喜びに出会う場所である。「モモ」は冒険ファンタジーであるが同時に、人間の権利を擁護する本である。』

モモ [DVD] 「モモ」を読む―シュタイナーの世界観を地下水として (朝日文庫) 『モモ』と考える時間とお金の秘密