『屋根裏部屋の花たち』 ジェフリー・ブルーム監督 原作:ヴァージニア・C・アンドリュース (1987年)

屋根裏部屋の花たち/FLOWERS IN THE ATTIC
    1987年・アメリカ映画
監督・脚本:ジェフリー・ブルーム 原作:ヴァージニア・C・アンドリュース 撮影:フランク・バイヤーズ、ギル・ハブス 音楽:クリストファー・ヤング 出演:ルイーズ・フレッチャー、ヴィクトリア・テナント、クリスティ・スワンソン、ジェブ・スチュアート・アダムス、ベン・ギャンガー、リンゼイ・パーカー

『屋根裏部屋の花たち』はヴァージニア・C・アンドリュースによる1979年の処女作でベストセラーとなったミステリー小説。その同名の映画が1987年にジェフリー・ブルーム監督によって実現した。両親と共に幸せな生活を送っていた4人の子供たち。長男のクリスは医学の道を目指している、長女キャシーはバレリーナを夢みる少女(クリスティ・スワンソンの撮影当時17歳頃の出演作)、そして、まだ幼い双子のコリーとキャリー。突然の父親の事故死から彼らの生活は転落してゆく。未亡人となった母親コリーン(ヴィクトリア・テナント)は生活してゆく為に家も家財も全て売り払い、実家に17年ぶりに戻ることにする。子供たちはまだ未成年ばかりで初めて祖父母に会う。古く大きなお屋敷に赴くのだけれど、母親は祖母(ルイーズ・フレッチャー)に17年分の罰としてムチ打ちを受ける。そして、4人の子供たちは隔離される。その部屋のクローゼットの奥には隠し扉があり、階段を上がると広い屋根裏部屋へと通じる。子供たち4人はそこから出る事は許されず、使用人のジョンが運んでくるお食事を食べて4人で母親の助けを健気に待ち耐えているのだ。しかし、次第に母親は子供たちに姿を見せなくなり、1週間も食事を抜かれたりする。兄クリスはひたすら愛する母を信じているのだけれど、妹キャシーは母を疑い始める。

彼らが幽閉され、悪魔の子と罰せられる理由は実は母親にある。彼らの父親は実は叔父であると祖母から聞かされ衝撃を受ける...近親相姦による子供たちであることから、祖母は彼らを汚れた子と人間扱いしない。しかし、死期の迫る祖父は娘コリーンを愛している。そして、祖母は祖父にコリーンに子供がいることを伝えてはいなかったのだ。そんな複雑な事情から実家に17年戻ることはなかったのだけれど、父の愛を取り戻し遺産を相続するのだとコリーンは子供たちにも言い聞かせる。その愛する母の言葉を信じて苛酷な状況で耐え生活する彼らが痛ましい。

食事を抜かれ幼い双子の弟と妹は病気になる。特に巻き毛の愛らしい男の子コリーは日増しに衰弱してゆき肺炎で死んでしまう。もう、この時点で彼らの母親の自分だけが良ければよい態度に脱出計画を決意する。豪華なベッドや衣裳部屋のある母の部屋を見つけ、キャシーは腹立たしく思うのだった。計画通りに母は全財産を相続する遺言を得る。そして、再婚の結婚式で彼らは母に復讐する...。

小さなコリーは山のお墓に埋葬されるのだけれど、その時に墓堀人はあと3つのお墓の用意をしていた場面でゾクリとした!母と4人の子供たちは実の親子なのだ。けれど、母は我が身の自由と財産の為に我が子を捨てるのだ...美しいが恐ろしい母である!私は兄よりも早くに母に疑問を感じ出す少女キャシーが好き。愛する父の形見であるバレリーナのオルゴールを大切にしていた、祖母に壊されてしまうけれど兄クリスが修復したりと兄弟姉妹たちの固い絆だけは神聖で尊く美しい☆

屋根裏部屋の花たち (扶桑社ミステリー)